中国で、外国人が出版や広告業を営むのは至難の業。にも関わらず中国政府公認で情報誌ビジネスを展開している日本独資企業がチャイナ・コンシェルジュである。当初、日本人向け情報誌からスタートした同社が、中国フリーペーパー業界でオンリーワンのポジションを確保するまでの経緯を辿る。
フリーマガジンビジネスならではの利点も計算に入っていた。それはインタビューを通じて現地にある日本企業のトップ層から話を聞けることである。現地密着の情報誌なら、大手企業のトップと直接コンタクトできる機会も多い。必然的に、有力な情報を集めることが可能になる。
「フリーマガジンを足がかりにして情報をどんどん集めていけば、そこから次のチャンスが生まれる。漠然とそんなことを考えていました。だから雑誌の採算はとんとんでいいから、何とか続けていこうと」
露骨な欲のない姿勢が、営業先で好感をもたれたことは想像に難くない。しかも規模はミニマムでも、きちんと組織化された会社である。95年に大連で発行された情報誌は着実に成長していった。
「実は創業以来、つい最近まで赤字を出したことがなかったのが秘かな自慢なんです。といっても決して偉そうなことじゃなくて、僕に借金をする器量がなかっただけのことですけれど」
もちろん赤字を出さないため経費は徹底的に切り詰めた。その象徴が、大西社長自身の給料だ。さすがに監査法人が入り指導を受けてからは「人並み」の給料を取るようになったが、それ以前は「ウソ」と言いたくなるような額に抑えていた。
「結局、臆病なんかもしれません。来月はみんなの給料をちゃんと払えるやろかというのがずっと最大の心配事でしたから。投資も極めてちびちびしかやれない。利益が出たら、その分だけ規模を拡大する。そんなやり方で必死にやってきたんです」
やがて死にものぐるいででがんばる大西氏にとんでもない一大転機が訪れる。きちんと準備をしていたが故に訪れたビッグチャンスである。
▼大連事務所:創刊時の『大連ウォーカー』は大西社長自らがパソコンを使って編集していた
⇒次回「北京市政府役人からのオファー」へ続く(全四回)
『株式会社チャイナ・コンシェルジュ関連リンク』
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(インタビュー:竹林篤実/戸井 雄一朗 構成:竹林篤実)
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FMO第6弾【株式会社チャイナ・コンシェルジュ】
2008.04.08
2008.04.01
2008.03.25
2008.03.18