中国で、外国人が出版や広告業を営むのは至難の業。にも関わらず中国政府公認で情報誌ビジネスを展開している日本企業がチャイナ・コンシェルジュである。当初、日本人向け情報誌からスタートした同社が、中国フリーペーパー業界でオンリーワンのポジションを確保するまでの経緯を辿る。
第一回
「チャンスはそれを活かせる準備をしているものにしか訪れない」
■遂に中国富裕層マーケットにリーチ!
「ようやく昨年あたりから、巨大な中国マーケットに向けたビジネス展開を本格的に始めることができました」
チャイナ・コンシェルジュがいま、中国で発行しているフリーマガジンは全部で7種類、発行総数は年間約275万部にもなる。そのうち日本人向け情報誌は『Concierge(コンシェルジュ)』、これは大連、北京、上海、香港の4都市版が発行されている。いずれも各エリアで暮らす日本人なら知らない者はいないぐらいの知名度を誇る。
同社はまた、日本語媒体である『Concierge』と並行して、2005年より、中国人の日本誘致を狙いとした中国語情報誌『A[ei]』を発行してきた。さらに昨年、上海在住のOLをターゲットとしたライフスタイルマガジン『MeHer』と、香港人向けの広東語による日本カルチャー紹介誌『needs』を相次いで創刊。中国語媒体の発行にも積極的に乗り出している。
「『A[ei]』は中国の富裕層に向けて日本情報を発信しています。主なスポンサーは中国から観光客を呼びたい日本の自治体さんですね」
『A[ei]』は、リクルートの『じゃらん』との協力に基づいて作られている。掲載情報の元ネタは『じゃらん』で、これをチャイナ・コンシェルジュ編集部が中国の人にわかりやすくなるよう編集する。
『じゃらん』との協力関係は、まず大西社長自身が同社出身であること。とはいえ単にOBであるというだけで動くほどビジネスは甘い世界ではない。リクルートにとってチャイナ・コンシェルジュ社が信頼に足る相手であることが重要な条件となっている。
アングラ的にビジネス展開しているフリーペーパー業者が少なくないことを考えれば、同社の優位性は明らかだ。大企業が安心して付き合える企業であることは折り紙付き。しかも同社は、大手監査法人による会計監査を受け、内部統制環境にも配慮している。ここまでの基盤を持つフリーマガジン発行企業は中国において唯一無二かもしれない。
■大手広告代理店の調査から自動車メーカーのサイト運営まで
「『A[ei]』については、わが社ならではのリーチ力が高く評価されています。中国ではクレジットカードの保有率が全人口の3%程度と言われていますが、『A[ei]』の読者はその78%がカードホルダーですから」
いまチャイナ・コンシェルジュ社が力を入れているのが、中国市場でのマーケティングだ。各社が同社と組む最大の理由は、確実に狙ったターゲット「中国の富裕層」にリーチできるチャネルを持っているからに他ならない。
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FMO第6弾【株式会社チャイナ・コンシェルジュ】
2008.04.08
2008.04.01
2008.03.25
2008.03.18