中国で、外国人が出版や広告業を営むのは至難の業。にも関わらず中国政府公認で情報誌ビジネスを展開している日本独資企業がチャイナ・コンシェルジュである。当初、日本人向け情報誌からスタートした同社が、中国フリーペーパー業界でオンリーワンのポジションを確保するまでの経緯を辿る。
第三回
「北京市政府役人からのオファー」
■やってきた北京市政府の役人
「創業2年目だったかな。いきなり北京市政府の役人さんから電話が入って、何かと思っているまもなく彼がオフィスまで訪ねてきたんです」
転がり込んできたチャンスとでも言えばよいのだろうか。たまたまその頃大連で中央政府の要人会議が開かれた。会議出席者の一人が大連空港に置いてあった『大連ウォーカー(当時の誌名)』を見かけ、同じものを北京でも作りたいと考えたのだ。
チャンスをモノにするだけの準備を怠っていなかったのが大西社長の運である。大連でのフリーマガジンビジネスが何とか採算に乗ることを見極めるや否や、いち早く北京進出の準備を重ねていたのだ。自ら市場調査を繰り返し、物価水準など見極めフィージビリティスタディを行なう。オファーはまさに絶妙のタイミングで飛び込んできた。
「このときほど、大連市政府から認可を受けていて良かったと思ったことはありませんね。もし、うちがいい加減な会社だったら、絶対に受けられない仕事でしたから」
この仕事を機にチャイナ・コンシェルジュは大連市政府に続いて北京市政府からもお墨付きを得ることになる。何といっても首都・北京の威光は絶大である。話を聞きつけた新華社からも直ちに業務提携の申し入れがあった。
新華社といえば、中国の公的報道機関である。そこが提携を申し込むとなれば、当然厳格な内偵が行なわれたことだろう。厳しい審査を見事パスしたことがチャイナ・コンシェルジュ社の信用力を飛躍的に高めた。
「ラッキーだったのは、中国ではまだフリーマガジンビジネスがほとんど知られていなかったんです。彼らは彼らなりに日本からの投資を呼び込もうと一生懸命にパンフレットなどを作っていた。それをタダで作る奴が現れたということで、政府の人たちは大喜びしてくれたんですね」
■中国の未来予測図はアメリカ
中国人や中国でのビジネスに対して偏見を持つ人は多い。そうした人たちは、どこからか仕入れた情報をもとに「中国を恐い」などという。それは大きな間違いだ。
「最初、大連で創業した頃、僕のまわりには中国人しかいませんでした。中国人と一緒に暮らしていて感じたのは、この人たちはめちゃめちゃ浪花節やということですね。いったん友人となったら、ものすごく義理人情に厚い。情の厚さは日本人の比やないです」
中国人と深く付き合ってきたからこそ、大西社長には中国独特の事情が見えている。たとえばマインド的に中国人は日本人よりもアメリカ人に似ているという。情は厚いが、ドライな側面も持っているというわけだ。マーケッターとして中国を分析するならば、その未来像は決して今の日本ではないと断言する。
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FMO第6弾【株式会社チャイナ・コンシェルジュ】
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