中国で、外国人が出版や広告業を営むのは至難の業。にも関わらず中国政府公認で情報誌ビジネスを展開している日本独資企業がチャイナ・コンシェルジュである。当初、日本人向け情報誌からスタートした同社が、中国フリーペーパー業界でオンリーワンのポジションを確保するまでの経緯を辿る。
最終回
「やりたいのはコンシェルジュ。これまでも、これからも」
■原体験はアメリカで出会ったコンシェルジュ
「学生時代にアメリカ貧乏旅行をしたんです。そのとき、どんな安ホテルでもコンシェルジュがいた。たまたま泊まったホテルのコンシェルジュが何でも知っている人で、どんな質問にも答えてくれた。ごぉつうカッコよかったんです」
大西社長が自らに課しているミッションは、世の中のコンシェルジュであることだ。それがたまたまフリーマガジンになったり、あるいはウェブサイトになったりしているだけで、ビジネスに賭ける思いはいつも「良質の情報を無料で提供すること」にある。
ただしビジネスとして情報を提供し続けるためには、情報収集から配布にかかるコストを何かで賄わなければならない。そこで広告を取る。こう分析してみると、このモデルは今や誰もが知っている巨大企業のビジネスモデルと同じであることがわかるだろう。そう、Googleである。
ただしGoogleはユーザーに、情報を編集した上で提供してくれたりはしない。情報とは自ら探すべきモノであり、だからこそユーザーの検索行為の精度と利便性を高めるため検索システムに磨きをかけている。
かたやチャイナ・コンシェルジュは、限定されたターゲットに対して、その相手が求める情報をもっともわかりやすい形に編集して提供する。だから各ターゲットにリーチしたい企業にとっては極めて有効なメディアとなり、ユーザーにとっては頼りになるコンシェルジュとなるわけだ。
「就職するにしても、住まいを変えるにしても、あるいはどこかでビジネスを始めるにしても、情報があるのとないのとでは大違いでしょう。ちょっと情報があるだけで、オプションはすごく増えるじゃないですか。そうやって人の選択肢を増やすお手伝いをしたいんですよね」
「良質な情報を提供する」という明確なミッションがいつも、チャイナ・コンシェルジュ社飛躍の推進力となってきた。一方で膨れ上がる組織に規律を与えてきたのが、大西流マネジメントである。何しろ大連、北京、上海、香港と海外の4拠点でそれぞれ情報誌を作る事業に加えて、東京に本社を置く体制を採っている。マネジメントシステムが機能していなければ、会社はバラバラになりかねない。
「僕は難しいことは言いません。ルールを5つ作って、これだけは守れよと。それだけです」
5つのルールとは
1.「ズルイ」ことをするな
2.自分の成長を第一に考え、常に上を目指せ
3.頭を使え
4.準備し、行動せよ
5.礼節を忘れず、心身ともに健康たれ
である。日本人、中国人を問わずチャイナ・コンシェルジュの社員は、これを守らなければならない。
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FMO第6弾【株式会社チャイナ・コンシェルジュ】
2008.04.08
2008.04.01
2008.03.25
2008.03.18