久しく聞かなかったバカッター事件。バイトテロとも呼ばれるアルバイトによる不適切投稿がまた勃発しました。明るみに出れば大問題になり、自分の一生をも左右しかねないにもかかわらず、なぜ繰り返されるのでしょう。
・バカッター史後期。バカスタグラムへ
大きな社会問題にもなり、バカッター行為も一旦沈静化します。2018年ごろ、若者はツイッターからインスタグラムにシフトします。インスタの興隆と、投稿後24時間で消えるというインスタの新仕様ストーリーズによって再びバカッター行為は息を吹き返します。この後バカスタグラムとの別称も生まれました。
バカッターと全く同じ轍を踏む、飲食店のバックヤードでの不衛生行為が投稿され、そのインスタ投稿自体は24時間で消えても、当然の如く転載され、永遠に残るサイトに載ったものは今でも残っています。
SNSも日々進化します。ツイッターがインスタに代わり、今回はTikTokが利用されていたようです。メディアが代わろうともインターネット上の情報がどんなものであるか、リテラシーを持たない愚かな人たちは永遠にバカッター行為をし続けるのだろうと思います。
・なぜ繰り返されるのか?
バカッター行為を働き、プライバシーが暴露され就職内定を取り消された者もいます。今回の懲戒解雇のような厳重処分や損害賠償なども課されます。自分だけでなく家族の勤務先まで晒され、甚大な影響を被ったにもかかわらず、なぜこうした行為は繰り返されるのでしょう。
それには年次進行という視点があると思います。学校用語ですが、例えば大学1年の時にアルバイト先でバカッター行為をしたことがバレ、大問題になったとします。その甚大な影響はさすがにバカでもわかるので、周囲は一旦注意をするようになります。しかしその後学年が進み、2年3年と進み4年で卒業となり、当事者とその時代を経験した「世代」が卒業してしまうと、もう「当時を知る世代」が不在になります。
ここでバカッター行為の甚大な影響は風化してしまうのです。わが身をもってしか痛みがわからないような愚か者がバカッター行為に及びます。リテラシーがあり、想像力と常識で判断できる人は元からこのような行為には及びません。
結局伝説を伝承する古老がいなくなった集落において、再び神を恐れぬ行為が繰り返されるのです。
・企業側の危機意識が必要
若者をアルバイトで雇用する店側、企業側はこうした事実を忘れてはなりません。ストアディフェンスというコンセプトを提唱していますが、若者たちが代替わりする3年から4年という感覚で、確実にバカッター事件は起きています。恐らくこの先もまた起こることでしょう。
今や新人バイトの教育において、バカッター行為への厳重注意喚起、SNSの扱いや仕事中のスマホ操作禁止など、当然のこととなっています。しかし当然すぎる感覚は返って緊張感を失い、その注意力低下のすき間で、バカッター事件は繰り返されるのです。
飲食店や小売店、お客さんと直接接する業務の企業の方は、今一度、こうした事件の度に危機感を持ち、自社自店の危機管理をあらためて意識して下さい。
関連記事
2009.02.10
2015.01.26
株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント
芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。