「ノックは2回??」エリート学生に謎マナーは無用

2021.01.04

組織・人材

「ノックは2回??」エリート学生に謎マナーは無用

増沢 隆太
株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

年も明け本格化する新卒就活。就活には黒スーツ、ノックは3回・・・・といった「作法」を知らなければマトモな社会人には成れない!とばかりにマナー講座、「社会人の常識」講座などで言われるのですが・・・ホントなんでしょうか。

将来の幹部候補として選考される学生が、自ら考える能力に疑問を持たれてしまうことは大きな損失です。自分を食べ物に例えると何か?のたぐいの、クイズのような無意味な質問はいまだに一部で行われています。しかしそのような採用の本質とは関係ない質問には正解などなく、単に表現力や対応力を求めるものだという仕組みを理解していることが重要です。

・異なる正解
マナーが不要だとは思いません。しかし理系や上位校文系学生すべてに、お辞儀の角度や客室乗務員による笑顔講座が必要とは全く思いません。ホテルやデパート、サービス業で、接客や接遇が重要な職務であれば、こうした知識や能力は欠かせないことでしょう。しかし大学院修士課程で研究を進める理系学生にとって、およそ優先順位は高いとはいえません。

「就活で企業が求めるものは何か?」と学生だけでなく、同僚の教員の先生方からも聞かれることがあります。その「求めるもの」はたった一つの正解ではないのです。旧帝大理系の大学院生に求めるものと、中堅校文系学部生が同じ職務で応募することは希なはず。職務によって、正解は異なります。

就活は試験ではなく、採用というビジネスの一環です。ビジネスにおける成果は一律なものではありません。経営目標やゴール設定によって常に変化する多辺形なもの、それこそ現実のビジネスが追い求めるもの。つまりテストにおける一つの正解を当てるという学生の思考から、多辺形のゴールを目指すビジネスの思考への適応力こそが求められるものです。

謎マナーに踊らされることなく、自らの判断力を鍛えましょう。

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増沢 隆太

株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。

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