猛威が収まらないコロナ蔓延の結果、今年度新入学した大学/大学院1年生の多くは、結局対面授業を受けられずに学年を終えることになりそうです。しかし「オンライン授業でかわいそう」「一刻も早く対面講義復活」という意見に反対します。
理系科目の実験や、美術・芸術系の実習など、オンラインでは実現不可能なものもあるでしょう。オンラインで全てが解決できないことは当然です。それでも日々授業を進めなければならない中、「対面こそすべて」で対面授業率を上げようという政策や意見には反対です。オンライン以外に感染防止手段が見つからない現実を受け止め、どうすればより効果的オンライン授業ができるかを考えるべきだと思います。
実際に授業中ディスカッションをすることは難しくなりました。いくつかのオンライン会議システムでは、オンラインでディスカッションすることも可能ですが、メジャーなシステムではまだ、リアルと同様な瞬時の自由自在グループ作りはできません。
私はチャットを活用しています。なかなか手を挙げて発言したりできない昨今の学生。しかしチャットは授業のオープニングからの誘導で、限りなく障壁が下げられます。結果としてリアル授業以上に発言や質問は増えています。助手など付けずに一人で回すため、すべてのチャットに応えるのは不可能ですが、もれたものについては後日フィードバックを行うことで、限りなくフォロー可能です。
小中高などでは不登校生徒の参加が見られたという話も聞きました。オンラインはベストではありませんが、その方法によってリアル対面授業では実現できない良さは確実にあります。どう学生を授業に引っ張り込むか、これまで以上に顧客対応能力は必要になるでしょう。しかしそれがこれまで顧みられていないとしか思えない、つまらなくてくだらない対面授業が放置されていることの方が、授業オンライン化よりはるかに問題であると感じています。
オンラインは地方と中央の距離も縮めました。これまでなら行けないような遠方の大学から、お試しで単発講義のご依頼をいただいたり、講演で呼んでいただく際もスケジュールさえあえば限りなくお応えしやすい環境になりました.オンラインだからこそのメリット、私は十二分に感じています。
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2009.10.27
2010.03.20
株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント
芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。