マルちゃん正麺をPRするマンガがツイッターで公開されたところ、女性差別、家事をするのは主婦と決めつけたといった批判投稿が寄せられたとのこと。このような批判意見にどう対応すべきか、実はPR問題ではなく経営陣の判断力が試される場なのです。
・炎上?って本当???
何をもって「炎上」というかは、実はライターの判断だけであって、これという基準などないといえます。住宅街に出没した熊を射殺したというような事件で反対意見が寄せられた等というニュースを見かけますが、よくよく調べたらわずか10件程度反対の電話があったとか、反対の投書が役所に寄せられた、しかも他県からなどということも珍しくありません。
「炎上」は言ったもの勝ちで、本当に炎上なのかどうかは客観的に判断するのは無理でしょう。国際大学GLOCOMの山口研究員がまとめられた「ネット炎上の実態と政策的対応の考察」という論文でも分析されているように、ほんのごくごく一部にすぎない実行者の行為が、あたかも世間全体に批判の嵐が巻き起こっているかのようば幻想を呼んでしまう実態があります。
・PRマンガへの批判
問題のPRマンガとは、マルちゃん正麺を食べる父親と子供の会話に、後から帰宅した母親が加わる、ほのぼのマンガです。しかし昼間に父と子がラーメンを食べたとして、母親が帰ってきたのが夜だとすれば、それまで父はキッチンの後かたずけをしていない、それを母親に強要させるひどいやつだ!というような流れで、男女差別、主婦への家事強要でるという批判ツイートがあったのでした。
しかし当然ですがマンガです。PRマンガが差別を煽る訳もなく、実際に何があったのか、そもそもマンガの設定を勝手に読み解くのは自由としても、自由な想像をふくらませた上で、マンガの設定を批判するという行為はかなり痛い行為としかいえないのではないでしょうか。
しかしそれが言いがかりのようなイチャモンであったとしても、発言すること自体は自由だといえます。バカバカしい文句だと思いますが、私はそれでも批判投稿自体は許されるべきだと考えます。
問題は現在このPRマンガについて、掲載した「マルちゃん正麺」公式アカウントが、作品に対し様々な意見が寄せられているため「今後の掲載につきまして現在精査しております」とツイートしたことです。
・クレーマーを育てるのは無知な経営陣
「マルちゃん正麺PRマンガ炎上!」というネットニュースになったことで、注目は劇的に上がり、結果として公式アカウント=会社は対応せざるを得なくなったのかも知れません。しかし実際にはごくごく一部の「不快」「女性差別」という批判があったに過ぎないにも関わらず、更新停止をアナウンスするなど、正にクレーマーに会社が屈したと取られかねない「合ってはならない反応」だと思います。
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2021.04.16
2022.01.31
株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント
芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。