コロナ対応で自粛に尽力したお店やサービス業の皆さん、休業要請が徐々に緩和される地域も出てくるというニュースが流れました。
・休業要請緩和での不安
東京や大阪など大都市以外から、徐々に休業要請が解除など緩和も始まるとの報道です。全面解除ではないものの、少しずつ営業が再開される店舗などが増えていく見込みです。これまで行ってきた厳しい営業自粛では、お客さんにに「来ないで」というメッセージを発したことで、繁華街や観光地は大幅な人出減を実現できました。
ワクチンも治療薬もない今、感染リスクを下げるという方法しか対策がない中、自らの生活を犠牲にし、売上減どころか廃業に追い込まれるほどの激甚な苦しみを味わう人たちの努力が、事態の鎮静化を強力に推し進めたことは疑いの余地がありません。身を犠牲にして社会正義を守る姿勢は、国を守り、われわれ多くの国民を救っていただいているのだと、本当に感謝でいっぱいです。
人が集まってくれなくては成り立たない小売業、サービス業、観光業などにとって、自粛は自らの身を切る行為です。観光地が「今は来ないで」とストレートなメッセージを発し、人の集まる場所を閉鎖し、駐車場を閉め、本当に身を切ることで人出を止めたのでした。
休業要請が緩和されることで、少しずつ人出を元に戻す動きが始まります。そんな時に一部の店主さんなどから「これまでお客さんに来ないでくれ等と失礼なことを言った。イメージ悪化が心配」というインタビューも見ました。客に「来ないでくれ」など、商道徳にもとる許されない気持ちなのでしょう。
・「お客様は神様」
しかし外出自粛に真剣に取り組んだ皆さん、安心して下さい。お客さんはまた来てくれますよ。
なぜそんな気楽なことを言えるのでしょうか?それは「お客さんは神様」だと思うからです。
拙著「謝罪の作法」で詳しく説明していますが、この三波春夫さんの名言は、一部のクレーマーなど犯罪者や犯罪予備軍が勝手に使い、小売業やサービス業を苦しめています。また一部の理解力のない経営者も同様に、三波さんの真意を理解せず、あたかも店で働く者はクレーマーの奴隷であるかの如き、全面服従を推奨したりします。すべて「お客様は神様」の意味を勝手にねじ曲げたものなのです。
三波春夫さんは浪花節など伝統大衆芸能の世界で育ち、神前儀式として神様の前で披露する芸として修練を積みました。そこで芸を行うことは、神様に対して全力で芸を披露するのだという気持ちを表現したものです。当然神様は芸の出来不出来以上に、そうした崇高な気持ちや精神性の高さを理解してくれるのではないでしょうか。
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2020.11.16
2022.01.31
株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント
芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。