コロナで就活はどうなる?Web説明会は一石三鳥

2020.02.28

組織・人材

コロナで就活はどうなる?Web説明会は一石三鳥

増沢 隆太
株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

コロナウイルス対応として、大手就活情報会社の合説(合同企業説明会)が続々中止になっています。また来る3月1日、いわゆる就活解禁日以後に予定されていた国立大学などの学内合説ものきなみ中止が決まっています。感染は恐いけどこの日に賭けてきた就活学生が右往左往しているのも事実。準備を進めてきた採用企業もとにかく前に進まなければなりません。

1.大学就活指導の現場から見た新卒採用状況
私は昨年末、都内で人事担当者の方を対象とした日本産業カウンセラー協会東京支部主催のセミナーに登壇しました。そこでは「人事担当者が知っておきたい、大学就活指導の現場から捉える新人採用とその育成」と題して、大学キャリアセンター教員として15年、経験を重ねた視点から、昨今の新卒学生採用について提言を述べさせていただきました。

当初50名のこぢんまりしたセミナーの予定でしたが、当日は予定を超える参加者の方に集まっていただくことができました。人手不足、採用難に直面する企業の採用担当の皆さんのご苦労は日頃からよく理解しているつもりです。一方、大学のキャリア支援の側から見れば、そうしたご苦労はわかるものの、今一つ学生の期待や利便性とずれを感じるところもあります。

東京近郊の大学はまだしも、地方大学では単純に距離の問題があり、距離の問題は時間という有限なリソースを消費します。私の勤務する大学は新幹線に乗れば東京まで90分で行ける距離にあり、地方大の中でもまだ恵まれています。しかしそれでも就活する学生たちは毎回新幹線に乗っての移動などできません。地方の学生は限りあるお金を少しでも有効に使おうと、深夜バスや早割予約など、手を駆使して交通費の倹約に努めています。

2.地方大学からの声
こうしてせっかく苦労して参加したにもかかわらず、説明はつまらなく、知りたいことも得られず、3月初頭のように多くの説明会が集中する日程で参加した説明会え「損した」という印象が残ったらどうでしょう。合同説明会であっても今は交代入替制のものも多く、人数無制限で誰でも希望する出展社の話を聞けるとは限りません。なので地方大生にとって、その説明会は一期一会の、二度と無い貴重な機会なのです。

私は仕事柄、何千社もの企業説明を聞いています。しかし中には、そこまで学生にとっての真剣勝負であるという認識があるのか疑問を感じる内容も少なくないと思います。ホームページ見ればわかることや、採用に直接関わるとも思えない情報をだらだら伝える例も何度も見ています。

ブラック企業への関心が高い昨今ですから、「当社はブラックではありません」という説明はよくあります。しかしながら、それはテレビCMで「ウチの製品はおいしいよ!」と言ってるのと同じで、説得力に疑問を感じます。他にも見れば(読めば)わかるデータをわざわざ時間を割いて説明するより、なぜもっと自社製品やサービスについて説明しないのでしょうか?

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増沢 隆太

株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。

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