欧州とりわけユーロ圏の経済減速懸念が明確になりつつあるのではと観測が強まっています。 5月7日、欧州委員会(European Commission)はユーロ圏各国の経済見通しを発表しました。
冒頭で載せました地図を再度ご覧ください。東欧のポーランド、ブルガリア、ハンガリーなどの国が2%以上の高い経済成長率を維持していることが分かります。こちらはユーロ圏への加盟が遅い国々であり、西に位置する先進国よりも経済規模が小さく、そして経済成長も遅れた国で物価水準も低いです。今後高い成長率を維持しないと、真にユーロ圏加盟国に相応しい国にはなれませんため、高い経済成長が要求されます。
ECB(欧州中央銀行)は、現在利上げに対して慎重姿勢を強めています。政策金利については、昨年は今年夏頃までは現行の政策金利を維持するとしていました。しかし今年に入り、年末までは現行水準を維持すると明記し利上げには非常に慎重な姿勢に変化しています。
またTLTRO-Ⅲ(貸出条件付き長期資金供給オペ)を9月には開始するなど、ドラギECB総裁以下幹部も景気後退のリスクを見越してのフォワードガイダンスの変更なのでしょう。
まとめ
米中通商交渉に不透明感が漂い、間接的にその余波を受けている欧州、そしてユーロ圏経済ではないかと推測します。外部要因が好転しないと、ユーロ圏経済も好転してきません。当面ユーロ圏経済はリスク要因を抱えており、株価の好転も見込めない状況であると思います。
唯一債券相場が好調で、投資家は資金を投入する市場環境でありますが、欧州への投資商品には必然的に慎重であるべきだと思います。
«記事作成ライター:水谷文雄»
国際金融市場に精通するInvestment Banker。
スイス銀行(現UBS銀行)にて20年余に亘り外国為替および金利・債券市場部門で活躍、外銀を知り尽くす国際金融のプロフェショナル。新興の外国銀行(中国信託商業銀行 )の東京支店開設準備に参画しディーリング・ルームの開設を手掛ける。プライベートではスペインとの関わりを深く持つ文化人でもあり、スペインと日本との文化・経済交流を夢見るロマンティスト。
【記事元】
日本クラウド証券株式会社 https://crowdbank.jp
日本クラウド証券メディア マネセツ https://manesetsu.jp
【転載元】
リーダーズオンライン(専門家による経営者のための情報サイト)
https://leaders-online.jp/
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2009.02.10
2015.01.26