/それがそれであるのは、それがそれであるからではなく、それがそれであるとしているからにすぎない。ところが、同じはずものが、同じせいで、かえってズレて別様になってしまう。/
仕事や事業も同じ。同じことをやっていることからして、もう同じではない。それは、ただの惰性であり、劣化であり、茶番だ。人も会社も、実際は、去年のまま、昨日のままではありえない。にもかかわらず、変わり映えがしないのなら、落ちぶれていっている。同じ枠組に留まっていると思っていても、そんな枠組など、とっくに改編されてしまっている。
しかし、たいていのことはやり尽くした。なにをやっても、もはや新しい余地など無い、と嘆くなかれ。あえて新しいものを求めるのは、むしろ古いものに心を支配されていることにほかならない。大切なのは、言語ゲーム、相手との、顧客とのコミュニケーションだ。時代に応じて、うまくいけばいい。そのために使えるものなら、古いものでも、再生したものでも、なんでもかまわない。たしかに、我々は歴史の呪縛から逃れられない。だが、それは、我々は歴史の恩恵を利用できる、ということでもある。それこそが、歴史を作り、文化を継いでいくこと。
(by Univ.-Prof.Dr. Teruaki Georges Sumioka. 大阪芸術大学芸術学部哲学教授、東京大学卒、文学修士(東京大学)、美術博士(東京藝術大学)、元テレビ朝日報道局『朝まで生テレビ!』ブレイン。専門は哲学、メディア文化論。最近の活動に 純丘先生の1分哲学、『百朝一考:第一巻・第二巻』などがある。)
哲学
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2020.06.27
大阪芸術大学 哲学教授
美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。