/たしかに、おカネがあれば、人がいろいろしてくれる。でも、人にあれこれしてもらってばかりで、自分でなにもしないなら、それは、生きていることにはなりません。というのも、人生は、人にしてもらうもの、ではなく、自分ですること、だからです。/
南洋のリゾート地の寓話は、みなさんも聞いたことがあるでしょう。ビーチでくつろぐ金持ちが、島の若いウェイターに説教する、きみがもっとしっかり働いてカネを稼いだなら、きみだって、いつか私のように、年に数週間、この島に来て自然を満喫できるようになれるよ、と。しかし、自然を満喫するのに、カネが必要でしょうか。現代の我々は、カネが無いと人生を楽しめない、と信じ込まされている。でも、ほんとうは、カネと人生は、あまり関係が無いのかもしれません。
たいていのものは、使ったら、無くなってしまいます。でも、人生はちがいます。今日を使い切っても、明日には明日が与えられるのです。そして、人生はむしろ、使えば使うほど、しだいに増えて、豊かになっていきます。あなたが貧しいのは、カネがないからではありません。これまでずっと自分の人生をまともに使わず、毎日、平気でドブに流し捨ててきたからです。もっとも貴重な自分の人生を自分で大切にしない人が、どうして素敵な人生を得られるなどと思うのか、その方が不思議です。
哲学
2018.11.06
2019.01.08
2019.01.15
2019.04.21
2019.06.25
2020.06.07
2020.06.27
2020.07.27
2020.08.15
大阪芸術大学 哲学教授
美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。