面接官はつらいよ ~圧迫面接が会社を滅ぼす

2018.10.05

組織・人材

面接官はつらいよ ~圧迫面接が会社を滅ぼす

増沢 隆太
株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

就活では、新卒・中途を問わず面接が必ずあります。面接を受けるのは憂鬱だと感じる人は少なくない・・・どころか嫌なものと思うのが普通です。一方面接をする側、面接官はどんな気持ちなのでしょうか?私自身が面接を受けた経験もたくさんありますし、(ってことは転職も多数??)、年齢とともに面接をする側の経験が圧倒的に増え、ここ何年かは面接官トレーニングやっています。

3.圧迫面接がある理由
特に新卒学生から人気がない圧迫面接ですが、実際には2種類あるのです。それは圧迫面接と圧迫じゃないのに圧迫面接と呼ばれる面接です。ふざけているのではなく、実際に今の大学生たちは完全な少子化時代に生まれ、人口が減り続けるわが国の社会では、ほとんど親からすら怒られたことがないという子供が少なくありません。

結果としてプレッシャー耐性は極端に弱く、怒るどころか単に答に窮する質問をしただけで「圧迫を受けた!」と勝手に感じてしまう学生もいるのが実情です。それでもプロ面接官であれば、そうした心情も見抜いて上手に運ぶことが不可能ではありません。さらにプレッシャーをかけても、その後ちゃんとリカバリーできるような高度なコミュニケーション能力があるから取り得る手法です。

そこまでの技量も無い単なる素人面接官は「近ごろの若いやつはひ弱になりやがって」と、学生をさらに追い込んだり、「そんな頼りにならない部下はいらない」とばかりに、圧迫面接こそ人を見抜くカギだと信じたりします。その結果がガンガン就活情報掲示板で広められることになります。

結論からいえば、圧迫面接をやったところで、まだ実社会に出ていない学生が、社会人として本当にプレッシャーに耐性が無いかどうかはわかりません。また当然社員教育の持っていき方でどんどん変わっていくものですし、本来の圧迫面接はやはり中途採用の営業や、厳しい職場での採用に限定されるべきでしょう。

4.すべては会社の意思
圧迫面接のように企業イメージを失墜させる行為を軽々にど素人がやれば、単に会社の評判を落とすだけになります。会社側は、コーポレートイメージが採用によって損なわれるリスクを、もう少し真剣に考えて判断すべきなのですが、勝手に現場で面接官が暴走したらそれを止めることはできません。

つまり、圧迫面接はその面接官の技量を試す合図であり、下手な圧迫面接しかできないような面接官は素人であり、そうした素人に面接を全権委任している会社は、恐らく業務遂行においてもそうした雑な判断をする会社だとも考えられます。

すべては会社の意思、経営者の意思として、捉えられてしまう面接官という重責を、単なるベテランや取締役など役職だけで選ぶような会社は、やはりそんな社風だと考えるべきかも知れません。

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増沢 隆太

株式会社RMロンドンパートナーズ  東北大学特任教授/人事コンサルタント

芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。

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