本シリーズはフレームワークを正しく使用し、マーケティングの分析・立案がもっとスムーズにできるようになることを目標としている。その第2回は非常にポピュラーな割には誤用が散見され、ともすると「ミスリード製造器」ともなりがちなSWOT分析を取り上げる。
【金森オリジナルSWOTフレーム】(図2)
上記の通常のSWOTにありがちな誤用を防ぎ、しっかりと「解釈」をして明確なメッセージを出せるようにするため、筆者はオリジナルのフレームを開発した。前出の「当社には販売店が多数ある」を例に、どのように「事実」からプラス・マイナス両面の「解釈」を展開すべきかも記述したので参照されたい。
【最終アウトプットの示し方】
前述のように、分析結果は「誰が読んでも正しく意味を理解できる文章で示す」ことが重要である。そのために、下記のような例文を開発した。
○○を取り巻く環境は
T というマイナス要因と、
O というプラス要因があり、
総合的には T+O であると言える。
その中で
W という弱みをカバーし
S という強みを活かしていく。
上記文章のTとOは、フレームの脅威(Threat)と機会(Opportunity)の欄でしっかり解釈ができていれば、その内容をそのまま転記すればいい。但し、その場合、プラス・マイナスの両面を抽出しているので、当然、相反する内容が書かれることになる。そのため、T+Oとして、外部環境は機会・脅威のどちらが勝っていて、どんな状況であるのかというもう一段階の解釈が必要になる。その検討結果を記述する。その検討結果を受けて、WとOとしてフレームの弱み(Weakness)と強み(Strength)の欄の記述内容を転記する。その結果、自社を取りまく外部環境の中で強みで弱みをカバーできれば「攻め」の戦略の方向性が見えてくるだろう。逆に弱みをカバーしきれないのであれば、課題としての「守り」の方向性が見えてくる。
【クロスSWOTとの関係】(図3)
SWOT分析で解釈をする手法として「クロスSWOT」と呼ばれるフレームも存在する。数のように、「強み×弱み×機会×脅威」というように、各項目の事実を相互に掛け合わせて解釈を導こうというものだ。一般に用いられるこの方法も有用であるが、項目を「掛け合わせる」という感覚が分かりにくいとの声も良く聞かれる。だが、やっている内容としては「事実から解釈を展開する」という筆者オリジナルのフレームと同じことだ。クロスSWOTが使いにくいと感じられている方にも筆者のフレームをお試しいただきたい。
前回も述べたが、フレームワークは便利な反面、使い方を間違えると戦略や施策をミスリードすることにもつながりかねない。特にSWOT分析は本稿の冒頭に記したように、最もその危険性が高いフレームだ。故に、今回も「フレームワークは、使用上の注意をよく守ってお使いください♪」のひと言でまとめさせていただきたい。
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フレームワーク
2015.07.17
2019.04.08
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。