現代マーケティングの大家、フィリップ・コトラーは2004年刊行の「コトラーのマーケティングコンセプト」のポジショニングの項で、「マーケティングで最も重要なのはポジショニングである」と明言している。そんな重要なポジショニングにも誤った策定方法によって顧客に全く魅力が伝わっていないという例も散見される。
■ポジショニングは一発で決まると思っている!
「STP」を細かく表現するなら、Segmentation → Targeting → TargetのKBF(Key Buying Factor)→Positioningなのだ。故に、ターゲットが決まったら、そのターゲット像を詳細化し、ターゲットが考え得るKBFをとにかく数多く洗い出す。そして、そのターゲットならどのKBFを重要視するかを考えて軸を設定し、その上で競合と差別化ができるか検証する。もし、差別化が図れないなら、次の順位のKBFに軸を切り替えてみる。そうやって、マップを何度も書いてみるのが肝要なのである。
もし、上記の手順でターゲットの優先順位が高いKBFの軸で優位なポジションが取れなかったらどうするか。それは、「ターゲットが間違っている」ということを意味しているので、当連載第4回「マーケティングは流れで読み解く」で述べたとおり、「戻る!」という観点で、Targetingのやり直しをすることが必須で、それをせずに無理なPositioningを設定してしまったら、以降の4Pがうまく設計できないことになる。
「マーケティングの流れ」で考えれば、環境分析→STP→4Pだ。そして、4Pを最も簡単な言い方で表現するなら、「魅力の打ち出し方の設計」である。つまり、その設計さえできてしまえば、あとは、その魅力の実現手段である製品・価格・販路・販促の4つの要素(4P)を整合性に留意しながら具体的に考えていくことになる。つまり、4Pはもう実施・実現段階なので、ポジショニングこそがマーケティングの流れの中で最も重要なのはコトラー先生が指摘した通りなのだ。
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フレームワーク
2019.04.08
2022.02.19
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。