高度プロフェッショナル制度は、簡単に『量』ではなく『質』で給料を支払うという制度です。この記事では働き方改革の関連法案でもある高度プロフェッショナル制度の仕組み、導入のメリット、問題点について徹底解説します。
高度プロフェッショナル制度とは、『特定高度専門業務・成果型労働』のことで、働き方改革関連法案として国会で議論になっています。
この制度は、収入が一定額(現時点では年収1,075万円を想定)以上の専門職について、労働賃金を働いた時間ではなく成果で評価する制度です。そのため、『残業代ゼロ法案』と呼ばれることも。ただ、同時に進められていた『裁量労働制の拡大』を検討した法案が労働時間データの不備によって見送りになったことから、疑問の声が高まっています。
この記事では、働き方改革の関連法案でもある高度プロフェッショナル制度について徹底解説します。
高度プロフェッショナル制度とは?
この項目では、高度プロフェッショナル制度についてご紹介します。
労働賃金を時間ではなく成果で評価する制度
高度プロフェッショナル制度では、対象の労働者を労働時間の規定から除外します。今までの労働制度では働いた時間の分だけ賃金が支払われていましたが、高度プロフェッショナル制度では働いた時間は賃金に反映されません。
労働時間に関係なく成果をあげた人が高い労働賃金を得ることができます。
年収1075万円以上の一部の業種が対象
高度プロフェッショナル制度は『特定高度専門業務・成果型労働』ですので、対象となるのは特定の業種や年収の労働者に限定されます。対象となる業種は以下の通りです。
- 研究開発
- アナリスト
- コンサルタント
- 金融商品のディーラー
- 金融業品の開発
また、現段階ではこれらの業種につく労働者のなかでも、年収1,075万円以上の方が対象とされています。
高度プロフェッショナル制度のメリット
高度プロフェッショナル制度は、多様な働き方や長時間労働の改善を目的につくられた法案です。この法案は『ホワイトカラーエグゼンプション』とも呼ばれ、アメリカやイギリスなどの諸外国では先行して導入されています。
労働時間に関係なく仕事ができる
高度プロフェッショナル制度では、労働時間は賃金に反映されないため、成果さえ出せば好きな時間に働くことができます。つまり、子育てなどで朝や夕方は家族の用事をしなければならない場合に、昼間や子供が寝た後の時間を利用して集中的に働くことができるということです。
働いた人より結果に答えた人に多く支払われる
今までの労働制度では、残業代などの時間外労働手当に収入の重きが置かれていることから、収入確保のために必要以上の残業を行うこともありました。
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