能力が変われば必然的に働き方は変わる。働き方改革とは学び方改革。

2019.09.20

経営・マネジメント

能力が変われば必然的に働き方は変わる。働き方改革とは学び方改革。

猪口 真
株式会社パトス 代表取締役

働き方改革は、「学び方改革」だ。 自分へのインプットの仕方、学び方を根本から見直し、アウトプットのクオリティを激変させよう。時間はかかるかもしれないが、能力が変われば必然的に働き方は変わる。

働き方改革法案が順次適用されることになり、各企業とも対応を迫られている。主には、残業時間の把握や減少、有給休暇の消化だが、もうひとつがいわゆる「高プロ人材」、労働時間とは関係なく、高収入の雇用契約への対応だ。

大半が労働時間に関することだが、いずれにしても、経営側に立てば従業員の労働時間は短くなることに間違いはなく、これまでよりも短い労働時間のなかで、これまでと同等、それ以上の成果を出してもらわなければならないことになる。とはいえ急にはそんなことが起こるわけでもなく、これまでも十分に能率・効率を向上させる仕組みをあれこれ考えてきたはずだし、労働時間の減少=収益の減少ということになりそうだ。

従業員の立場に立ってみても、会社は残業をさせるな、残業代はきちんと払え、休みはとらせろという権利を保護するものに見えるが、逆から見れば、これまで休日返上で働いたり、夜遅くまで働くことで稼いできた残業代や休日出勤手当が相当少なくなるということであり、よほどの出世や営業として大きな契約によるインセンティブをもらうことしか、高収入の道はなくなったということでもある。しかも、プロフェッショナルとしてある程度の収入になると、「高プロ人材」として固定給になってしまえばそれ以上の収入はない。

こうした制度が本当に労働者の味方かどうか(いわゆるブラック企業は結局あの手この手でやってくるだろうから)は、意見の分かれるところだ。

同じ時間で多くの成果を出すには、一人ひとりの仕事の能力(知識・スキル・スピード)を向上させるか、組織全体のバリューチェーンのプロセスを改良していく、この2つが王道なのだが、残念なことに、多くのビジネスマンはこれまで会社の体制に恵まれすぎて、自ら能力開発やビジネススキル取得の方法を身につけている人はほとんどいない。

これまでは、会社に入ると、OJTで先輩社員が懇切丁寧に教えてくれた。先輩にしても、後輩を育てることで、自分も楽になり、そして出世することで給料も上がっていったからだ。ところが、現在は誰もが感じるように、こうした余裕はなくなり、昔ながらのヒエラルキーもほとんどない。おまけに残業代もカットされるとなると、先輩にしてみても自分でやったほうが残業代をもらえるわけで、後輩はむしろライバルに映る。

今ビジネスマンは、自らの力は自らで伸ばすしかない。

これからは誰も教えてくれないのだ。多くのビジネスマンは、これまでは教えてもらうことが学ぶことであった。知らないことは、「自分はわからない」と言えばよかった。わからないことはやらなくてもよかった。「わからないので、勉強させてください」という考えになった人はまれだ。

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