女性読者数700万人。ファッション&ビューティのNo.1ケータイメディア「ガールズウォーカー(GW)」。当初ケータイでの物販など狂気の沙汰といわれたサイトはいま、ケータイ通販のトップを突っ走る。その成功への道のりをゼイヴェル社担当プロデューサーの石倉氏に聞いた。
第一回
「敵のいないところで戦え」
■ベースはランチェスター理論「ウラジョーホードットコムというPCサイトの立ち上げが、我々のスタートです。でも、そのまま走っていたら恐らく失敗していたんじゃないでしょうか」
ゼイヴェル社の創業は1999年、Windows98の普及によりインターネットが日本でも一種のインフラとして認知され始めた時期である。次々とホームページが立ち上げられ、さまざまなネットビジネスが登場していた。いわゆるネットバブル全盛期、ベンチャー企業が脚光を集めていた時代である。そんな中でゼイヴェルもPCサイトを立ち上げ、ネットビジネスへの進出を目論んでいた。
「我々もベンチャー、資金が潤沢にあるわけではない。限りある資金でどう戦うか。議論を尽くした末に大浜(現社長)の下した決断が、どこまでもランチェスター理論に忠実に従うことでした」
ランチェスターといえば、中小企業戦略のバイブルである。非常に含蓄の深い法則として知られるが、そのポイントをひと言で表すなら「敵のいないところで戦え」だ。そこでゼイヴェルが目を付けたのがケータイである。同社は限られた資源をケータイに集中投下する。ここで少し、今から8年前のケータイを取り巻いていた環境を思い出していただきたい。
ケータイ各社が当時、最大のセールスポイントとして競っていたのが、エリアカバー率である。つまり、まだまだ通話さえまともにつながらない地域がたくさん残っていた時代なのだ。画面はモノクロ、極めて小さく番号表示をするのが精一杯。ケータイはあくまでも電話であり、インターネットはもちろんメールさえまだまともに使えるツールではなかった。
「そんな状況でPCをやめてケータイに集中するなんて言うと、たいていはバカじゃないかって反応でしたね。ましてや、いずれケータイでの通販を考えているなんていうと、誰からもまともには相手にされない。まさに敵は一人もいなかったわけです。逆にだからこそ、我々は大浜の判断の正しさを信じることができました」
敵のいないところ、すなわちケータイで戦う。ゼイヴェルは自社のドメインをケータイに定めた。ただしケータイを選んだのは敵がいないからという理由だけではない。その裏にはケータイというメディアの将来像について、確かな読みがあったのだ。
←2008年2月:携帯版 girlswalker.com トップページ
■2007年がケータイブロードバンド元年になる
現在から振り返って過去を分析するのは、困難なことではない。一連の流れに後づけの必然性を見出すことも容易だ。しかし、過去のある時点で未来を読むことは違う。読みを間違わないためには先見の明が必要となる。とはいえ求められるのは決して常人離れした天才などではない。いかに現状を注意深く観察し、周辺状況に目を配ることで将来を予測するためのヒントを見つけるかがカギだ。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
FMO第5弾【株式会社ゼイヴェル】
2008.03.11
2008.03.04
2008.02.26
2008.02.19