インターネットの浸透によって、 既存の紙媒体、すなわち新聞・雑誌等が 厳しい状況に追い込まれているのは周知の通りです。
ネット上でも有力な媒体を生み出し、
新たな収益源に育てない限り媒体社の将来はない。
もはやこんなことは言われなくても、
十分にわかってはいる。
しかし、
「イノベーションのジレンマ」
が思い切った決断を阻んでしまう。
まだまだ紙で行ける。
まだまだオンラインはたいしたことない。
そう思いたい。
ネット媒体に注力すると既存の読者を自ら奪い、
短期的には収益低下につながるかも知れない。
そんなことは怖くてできない・・・
とまあ、媒体社の方々は、
いろいろと悩んでらっしゃることでしょう。
米経済誌『フォーブス』では、
08年度には、オンライン媒体の売り上げが、
紙媒体のそれを抜くと予測されているそうです。
(宣伝会議、2008.2.15)
いつか確実にやってくる未来であった
「紙とデジタルの逆転」
を最初に実現しそうな最有力候補が、
一般誌の中では『フォーブス』なのです。
『フォーブス』(隔週刊)の雑誌の発行部数は
90万部
です。
一方、独立会社として運営されている
『フォーブス・ドットコム』は
1500万ユーザー/月
のアクセスを得ています。
『フォーブス・ドットコム』では、
雑誌の全記事とオンラインオリジナル記事を
無料で閲覧でできます。
以前の関連記事でご紹介しましたが、
最新記事のオンライン公開は木曜日です。
雑誌が読者に届くのは金曜以降なので、
オンラインの方が早く記事を読めるように
なっています。
しかし、同誌の編集次長、
カール・ラヴィン氏は次のように述べています。
(フォーブスCEOも同じことを主張してますが)
“雑誌とオンラインはとも食いにはならないのです。
むしろ相乗効果の方が高い”
というのも、雑誌(紙)の新規購読者の3分の1が、
フォーブス・ドットコム(オンライン)経由で
獲得されているからです。
この数は既に旧来のダイレクトメールによる
新規顧客獲得数を上回っています。
今のところ、雑誌読者とオンライン読者の層が
あまり重なっていないため、総体的な読者層を
広げることに成功しているのが『フォーブス』だと
言えそうです。
紙からデジタルへの移行の過渡期にある今、
フォーブスの大胆な取り組みはいいケーススタディ
ですよね。
*関連記事
「誰が新聞を滅ぼすのか」
http://www.mindreading.jp/blog/archives/200707/2007-07-18T0841.html
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2009.02.10
2015.01.26
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。