/時代劇に拳銃なんてウソだろ、と思うかもしれないが、そうでもない。『用心棒』に出てくる地場のチンピラの拳銃は、じつは1866年、寺田屋襲撃から逃げる途中で坂本龍馬が落として失してしまったものなのだ。/
一方、さすがに銃器の時代考証が正確で渋いのが、1877年の西南戦争を模したハリウッド映画の『ラストサムライ』。トム・クルーズが演じるネイサン・オールグレンの拳銃が、主流の1872年型のコルトSAAではなく、1860年型のコルト・アーミーだったり、1870年型のS&Wスコフィールドだったり。これだけで、この主人公の気骨のある性格がわかるような粋な選択だ。
とまあ、時代劇に拳銃が出てきて、剣豪とガンマンが対決する、というのは、ありえない話ではないのだが、このように、この幕末から維新にかけての1860年代というのは、拳銃として実在したモデルがかなり限られている。そのうえ、生産が追いついておらず、米国さえ容易に手に入らなかった。まして、日本でとなると、どこから手に入れたのか、問われる。こういう意味でも、ぎりぎりの可能性を突いた時代考証の『用心棒』の話は良くできている。
(by Univ.-Prof.Dr. Teruaki Georges Sumioka. 大阪芸術大学芸術学部哲学教授、東京大学卒、文学修士(東京大学)、美術博士(東京藝術大学)、元テレビ朝日報道局『朝まで生テレビ!』ブレイン。専門は哲学、メディア文化論。最近の活動に 純丘先生の1分哲学vol.1 などがある。)
映画
2017.11.01
2018.02.28
2018.03.15
2018.05.12
2018.08.29
2018.12.07
2018.12.14
2019.06.08
2020.01.25
大阪芸術大学 哲学教授
美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。