企業の内部で新規事業などの立ち上げをミッションとした、企業内起業家(イントラプレナー)という存在。企業内で起業をするという無理難題にいかにして向き合うべきなのだろうか。新規事業を専門とするコンサルタントの目線で考えてみた。
【企業内起業家へのメッセージ】
先日、一部上場企業社長の講話を聞く機会があった。企業内で新規事業の立ち上げを目指す企業内起業家(イントラプレナー)へのメッセージだ。
「経営者は休まない。私は経営者になってから、年数回の旅行以外は仕事を休んだことがない。多くの経営者が同じ状況なのではないか。皆さんは、社内起業家を志すメンバー。事業に没頭しないと企業内とはいえ、起業が成功することはないだろう。ワークライフバランスという言葉は、その道に没頭する人間には関係ない。イチロー選手がワークライフバランスを要求するだろうか?みんなで一流の経営者を目指して頑張ろうではないか!」
筆者も経営コンサルタントとして独立して5年になるが、その中で丸1日一つも仕事をしなかった日は、おそらく3日未満だ。講義やコンサルティング、執筆などの直接付加価値を生み出す時間は元より、メールの返信や資料の読み込み、営業活動、ホームページ更改、経理的な処理など、直接クライアントと接触しない裏方仕事も考えると、やることは山のようにある。おちおち休んでなどいられない。家族には申し訳ないが、起業した以上は、全てに仕事が優先する。先の上場企業社長も、同じか、あるいはそれ以上に厳しい心持ちに違いない。せめてこれくらいやらないと、と常に不安で仕方ないし、成功しないのではないかと考えてしまう。
「ここまでやってダメなら諦めもつく」と言うレベルまでやらない人間には、残念ながら勝負を仕掛ける資格など無いのではないか。
起業家は、皆似たような状況だ。言うなれば、ワークライフ ザ セイムとでも言うべきか。仕事と生活がほぼイコールの状態になっている。
【ワークライフバランス】
起業家ががむしゃらに仕事ばかりしている一方で、世の中はワークライフバランス花盛りだ。
私の講座の受講者の皆さんも、最近早く帰れと会社がうるさくて…と言う。今まで、長時間残業の温床だった営業部門などにしてみると、「そんなに簡単に切り替えできるか!」と叫びたくなるのもわからんでも無い。それでも、労働効率の改善とワークライフバランス重視のトレンドはしばらくは続くだろう。
当然、人口減少が続く日本においては、様々な立場の方々が働く機会を持つ為にも、ワークライフバランスが重要なのは言うまでもない。
労働の効率化を図りながら、総参加社会を作り出す事は強い社会のニーズとなっている。この時代の流れに逆らうことはできない。
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2015.07.10
2009.02.10
株式会社リアルコネクト 代表取締役
【自己紹介】 BtoB営業組織改革・新規事業開発を専門とするコンサルタント。新規事業企画担当者・営業マネージャー・B2Bマーケッター・営業マン向けのセミナー/研修/ワークショップの講師・ファシリテーターを中心に営業組織改革、新規事業開発支援等のコンサルティングを行っている。 【保有資格】 中小企業診断士・経営管理修士(MBA)・日本酒利酒師