発足後も混乱?話題の絶えないトランプ政権。いわゆるエスタブリッシュメントへの反発が誕生させたという性格から、東部政治エリート以外の閣僚が目立ちます。特にビジネスマンと軍人出身者が多いのも特徴ですが、軍人と政治には歴史的つながりがあるのです。
・軍人と政治
途上国などでクーデターが起こるとだいたいその指揮官である軍総司令官などの人が暫定大統領に就き、そのまま正規の大統領のような国家元首になることが多いといえます。クーデターそのものが武力による政権奪取ですから、その実力組織のトップがリーダーになるのは必然で、結果として多くの国で軍人が国家元首になる例が多数見られます。
ただ多くの場合こうしたクーデターは途上国など、治安や政治体制の安定していない国情の地域であることが多いといえます。逆に先進国ではクーデター自体がそもそも普通は見られないことから、途上国の元首に軍人が多いことになります。
しかし今回は超大国であるアメリカです。国家安全保障担当補佐官マイケル・フリン氏の電撃辞任を継いで、ハーバート・マクマスター中将がその任に着きました。トランプ政権ではマティス国防長官、ケリー国土安全保障長官と、軍人出身者が多数見られます。良く考えれば退任したフリン前補佐官も陸軍中将でした。
・歴代大統領
歴代米国大統領を見てみますと、プロの政治家として政治経験を積んだ人が多数です。世界中、特に先進国では共通性が高いですが、弁護士や官僚から政治家となるルートが本流といえます。かつてピーナツ畑の農家とあだ名されたカーター元大統領も、ジョージア州議員、州知事としっかり政治経験を積んでいます。
そんなアメリカでもバリバリの軍人出身者がいます。もちろんアイゼンハワー元大統領です。ウエストポイントの陸軍士官学校を出た生粋の軍人で、第二次大戦における「史上最大の作戦」ノルマンディー上陸作戦を、連合軍最高司令官として務めました。その後大統領に就任したのは、第二次大戦という歴史的な特別の環境だったからといえます。
こうした戦時のような特殊事情がなくなった20世紀後半は、正統派である政治家出身者が代々の合衆国大統領を務めましたが、今回のトランプ氏はプロ政治家ではなくビジネスマンですので、かなりの変わりダネです。レーガン元大統領も俳優大統領といわれましたが、しっかりカリフォルニア州知事として、政治経験はありました。
・軍事理論と経営理論
マネジメントという科学は軍事理論との共通点が多数あります。販売戦略で有名なランチェスター戦略は兵力と武器性能を用いた軍事理論そのものです。孫子やクラウゼヴィッツなどの戦略論も経営指南書として愛読されています。「戦略」という思考が経営と戦争では共通して重要であり、親和性が高いからでしょう。
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2009.02.10
2015.01.26
株式会社RMロンドンパートナーズ 東北大学特任教授/人事コンサルタント
芸能人から政治家まで、話題の謝罪会見のたびにテレビや新聞で、謝罪の専門家と呼ばれコメントしていますが、実はコミュニケーション専門家であり、人と組織の課題に取組むコンサルタントで大学教授です。 謝罪に限らず、企業や団体組織のあらゆる危機管理や危機対応コミュニケーションについて語っていきます。特に最近はハラスメント研修や講演で、民間企業だけでなく巨大官公庁などまで、幅広く呼ばれています。 大学や企業でコミュニケーション、キャリアに関する講演や個人カウンセリングも行っています。