権力者が何の気なしに言った言葉が部下には重要な指示と受け取られて、とんでもなく重大なもしくは滑稽な事態を引き起こすことが往々にしてある。もしかすると豊洲の「盛り土問題」はそのパターンだったのかも知れない。
心ある部下は既に遠ざけられているため、「そんなアホなことは止めてください」と直言する声は聞こえず、経営トップは自らの指示の結果とすら気づかずに、その結末だけを見て、改めて「またウチの連中は無駄なことをやっておるわい。どうしてワシの気苦労を分かってくれんのか」と嘆くのだ。したがってその経営トップが引退するまでこうした悲喜劇は繰り返される。
ちなみに冒頭の石原元知事の話に戻るが、盛り土をしない決定の経緯はどうだったのかを問われて「何も知らない、僕は騙されていた」などと発言していることで、氏は知らぬ振りをしたとか責任逃れなどと非難されていた。しかし我が母校の大先輩の唯我独尊の性格からして責任逃れをすることは考えにくい。もし本当に自分が決定したという認識と記憶があれば、どんなに非難されようと「俺が指示したんだ。それが悪いか?」と開き直るはずだ。
現実には、そもそも自分が実質的に決定し指示したという認識が元々ないか(この可能性が一番高い)、(残念ながら既に耄碌されているとしたら)実際の経緯を忘れて被害者意識のみ強くなってしまっているかのどちらかだろう。
もう一つの「ちなみに」だが、「盛り土」の代わりにコンクリート壁の空間を作るというのはむしろ合理的なやり方であったという指摘を幾つか目にした。よくなかったのは、公明性大な意思決定がなされなかった上に、その経緯を正直に言えないがために誤魔化していることではないかと思う。経営・事業戦略
2016.05.25
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2017.05.17
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長
パスファインダーズ社は少数精鋭の戦略コンサルティング会社です。「新規事業の開発・推進」「既存事業の改革」「業務改革」の3つを主テーマとした戦略コンサルティングを、ハンズオン・スタイルにて提供しております。https://www.pathfinders.co.jp/ 弊社は「フォーカス戦略」と「新規事業開発」の研究会『羅針盤倶楽部』の事務局も務めています。中小企業経営者の方々の参加を歓迎します。https://www.pathfinders.co.jp/rashimban/ 代表・日沖の最新著は『ベテラン幹部を納得させろ!~次世代のエースになるための6ステップ~』。本質に立ち返って効果的・効率的に仕事を進めるための、でも少し肩の力を抜いて読める本です。宜しければアマゾンにて検索ください(下記には他の書籍も紹介しています)。 https://www.pathfinders.co.jp/books/