私たちは、技術上のブレークスルーなどによって、 「いつ(When)」になったら実現するかは正確に言えないけれど 「確実にやってくる未来」 の変化に意外と鈍感です。
変化の重大さに気づいた時には往々にして手遅れ!
新しい環境に適応した新興企業にやられてしまう。
自動車が初めて実用化されたころ、
当時の運送手段として主流だった「馬車」の経営者は
鼻で笑いました。
また、メインフレームで大儲けしていたIBMが、
まだ幼児期のパソコンを単なる「おもちゃ」として
バカにした話も有名ですよね。
同じようなことは現在もあちこちで起こっています。
たとえば照明器具です。
「Ban the Bulb」(白熱電球禁止)
米国、カナダ、オーストラリアを始めとして、
欧米諸国では、こんなスローガンの下、
白熱電球を蛍光灯に切り替える運動
が盛んになっています。
ちなみに、「Ban the Bulb」というのは、
一昔前に、原爆や水爆に反対する人々が唱えていた
「Ban the Bomb」(爆弾禁止)
というスローガンのもじりだそうです。
さて、白熱電球は電力消費量が大きく、
エネルギー利用効率が悪い。
このため、二酸化炭素を減少させる温暖化対策の一環として、
光熱電球を使うのは止めましょうということです。
実は日本でも、
数年以内に発熱電球の国内製造・販売が中止される可能性が
あるようですね。
一方、白熱電球の代替として推奨されている
蛍光灯
ですが、最近は
「電球型の蛍光灯」
がずいぶん普及してきましたね。
電球型蛍光灯はまだ割高ではありますが、
電力消費量は白熱電球と比べるとはるかに少なく、
かつ長寿命ですから、法規制の後押しがあれば
あっという間に浸透するかも知れません。
ただ、蛍光灯も問題を抱えています。
蛍光灯には人体に有害な水銀が含まれているため、
処分が面倒なのです。
私たちはあまり知りませんが、
うっかり割ったりすると、空気中に水銀が流出するため
かなり危険なんですよね。
それでも、これまでのところ
蛍光灯ほど優れた照明器具はなかったので
利用されてきたというわけです。
しかし、蛍光灯よりもさらに電力消費量が少なく、
かつ長寿命の
「発光ダイオード」
における技術革新が蛍光灯を
「過去のもの」
にしようとしています。
すでに、実験室では蛍光灯と同等の明るさを
実現しているそうです。
まだまだ製造単価が高いですし、安定性の問題もあり、
一般消費者が手に入る蛍光灯の代替製品としての
実用化はちょっと先になりそうです。
それでも、山口栄一氏(同志社大学ビジネスクール教授)
によれば、5年後には蛍光灯の照明は発光ダイオードに
置き換わるのではないかという推測をされていました。
次のページ「イノベーションのジレンマ」
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2008.02.15
2013.07.08
有限会社シャープマインド マーケティング・プロデューサー
これからは、顧客心理の的確な分析・解釈がビジネス成功の鍵を握る。 こう考えて、心理学とマーケティングの融合を目指す「マインドリーディング」を提唱しています。