/江戸幕府は、御料、街道、寺社領などで、一国の大名領を寸断し、また、転封や相続で全国各地に分散させてしまった。このせいで、各大名は、幕府の徹底監視下におかれ、また、隣接他家と相互牽制を強いられるところとなった。しかし、この救いがたい非効率こそが、江戸時代三百年の平和安泰の秘訣だった。/
だれがどう考えても、むちゃくちゃに効率が悪い。だが、幕府がわざわざそうしたのだ。どの大名も、どの村も、効率的になど動けなくしたからこそ、江戸幕府は三百年ももった。このわけのわからないムダに対処するために、各大名家は大量の役方(事務職)武士を抱え続けた。なんの役に立つのやらわからない仕事のために、武士たちは命を削り、全国を走り回り、あれこれの書状に書状を重ねて働いた。根回し、接待、御承認。だれもがみんな忙しすぎて、日々のやりくりに追われ、乱を思う暇も無い。そして、倒幕は、なんの仕事の無い、暇すぎる郷士・浪人が企てることになる。
(by Univ.-Prof.Dr. Teruaki Georges Sumioka. 大 阪芸術大学芸術学部哲学教授、東京大学卒、文学修士(東京大学)、美術博士(東京藝術大学)、元テレビ朝日報道局『朝まで生テレビ!』ブレイン。専門 は哲学、メディア文化論。著書に『悪魔は涙を流さない:カトリックマフィアvsフリーメイソン 洗礼者聖ヨハネの知恵とナポレオンの財宝を組み込んだパーマネントトラヴェラーファンド「英雄」運用報告書』などがある。)
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2015.07.17
2009.10.31
大阪芸術大学 哲学教授
美術博士(東京藝大)、文学修士(東大)。東大卒。テレビ朝日ブレーン として『朝まで生テレビ!』を立ち上げ、東海大学総合経営学部准教授、グーテンベルク大学メディア学部客員教授などを経て現職。