集中購買を進めているのに何故サプライヤ集約が進まないのか、サプライヤ集約を進めているのに中々すすまないのは何故なのか、集中購買やサプライヤ集約を進めているにも関わらずコスト削減が進まないのは何故かなのでしょうか?そもそも改革の目的が不明確であったり、目的と手段が入れ替わったりしていることが指摘されます。
そもそも自社が発注金額を増やしたところでサプライヤの売上増加に貢献できるかどうかも個別企業によって異なりますし、売上が増えれば追加的な投資や人員などの固定費の増加も予想されますので、イロイロなモノをまとめて買えばコストが下がるとは言い難いでしょう。
そうすると同じモノを今まではバラでいろんなサプライヤから買っていました、それを集めて同じモノを同じサプライヤから購入しましょう、というのがサプライヤのコスト削減にもつながる手法となりますが、こういう機会は非常に限定的であることが理解できます。
このように考えると集中購買は初期のころは効果が出やすい活動と言えるでしょう。
例えば同じモノを買っているのにサプライヤが分散している場合にはメリットが出やすい。またチェンジコスト(サプライヤ切り替えにかかるコスト)が低いモノの方がコスト削減効果が出やすくなります。何故ならチェンジコストが低い場合には現状購入しているモノを含む全ての契約に関して多事業所の契約を集中できるからです。
一方でサプライヤの切り替えによって金型の新規製作が必要になるなどチェンジコストが高い品目は現状購入品についてはサプライヤの切り替えが難しくなり、新規案件からサプライヤ間で競争させましょう、ということになります。ですから集中購買やサプライヤの集約を行ってもコスト削減効果は出にくいです。
チェンジコストが低いモノも集中購買実施の初期は効果は出やすいですが、何度もサプライヤの切替えを行うことは考え難いし、一度削減された価格から追加で何度もコスト削減がでできるとは考えにくいでしょう。
このように集中購買を続けていても継続的にボリュームメリットが出続けることは考え難いということなのです。だからと言って集中購買をやめるかというと、それはまた、違った議論になります。集中購買集中契約を行うことによる様々なメリットが他にもあるからです。
しかし集中購買を続けていればコスト削減が継続的にできるというのは幻想。何故なら、サプライヤのコストが下がリ続けない限りコスト削減は有限だからです。
次にサプライヤ集約ですが、定義を読んでも「集中購買」=「サプライヤ集約」でないことは明確です。サプライヤ集約は「集中購買」や「競争化」を図ることであくまでも結果的に「サプライヤが集約されていた」ということになると考えるのがよいでしょう。
サプライヤ集約とコスト削減については、先ほどもふれましたが、サプライヤが集約されることで1社当たりの発注金額が大幅に増え、売上が増えれば、固定費が薄まり、あくまでも収益還元という形でボリュームメリットを享受することは可能です。しかしこのような機会につながらないことも多いでしょう。もっと言えばサプライヤの集約自体が難しいです。
例えばチェンジコストが高い場合、新規案件から集約せざるを得ません。またサプライヤ集約をしたくても地域性が強く結果的に集約できないこともあります。繰り返しになりますがサプライヤ集約は競争の結果にしかすぎません。競争した結果、強いサプライヤ2社に集約されました、というのが定石なのです。
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調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。