新規事業における素朴な疑問(11) 部下に冒険させない管理職

画像: Clemens Vasters

2016.07.27

経営・マネジメント

新規事業における素朴な疑問(11) 部下に冒険させない管理職

日沖 博道
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

新しい事業や斬新な商品の企画を上申しようとすると、「もっと調査せよ。計画をブラッシュアップせよ」と何度もやり直しをさせる上司。彼らにこうした保守的な行動をとらせるものは何か。

そして「成果主義」という人事評価制度が減点主義的に運用されている企業では、部下にリスクのある新しい取り組みをさせない「保守化した管理職」を増殖させてしまうのだ。

そうした保守化した管理職は、従来からある製品ラインの延長上にあるモデルチェンジは必要以上に矢継ぎ早にさせようとするのに、まったく斬新なコンセプトに基づく新しいカテゴリーの製品や、ビジネスモデルごと入れ替えてしまうような新サービスを提案してもなかなか了承してくれない。前者はROIが計算できるが、後2者は計算できないからだ。

しかしこうした保守的な経営管理が横行すると、各企業が提供する製品・サービスは似たようなものになってコモディティ化しやすい。そしてイノベーティブな新規事業が生まれる余地はどんどん狭くなってしまう。畢竟、同じような領域での価格のたたき合いになりがちで、業界全体がレッドオーシャン化しやすい。これはまさにニッポンの家電業界が嵌ってしまった陥穽だ。

例えばルンバのようなロボット掃除機は、日本メーカーのほうが開発は先行していたと聞く。日本の家電メーカーが本当の意味で復活するためには、担当者はもちろん、管理職クラスにも真の企業家精神を復活させることが欠かせない。
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日沖 博道

パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長

パスファインダーズ社は少数精鋭の戦略コンサルティング会社です。「新規事業の開発・推進」「既存事業の改革」「業務改革」の3つを主テーマとした戦略コンサルティングを、ハンズオン・スタイルにて提供しております。https://www.pathfinders.co.jp/                  弊社は「フォーカス戦略」と「新規事業開発」の研究会『羅針盤倶楽部』の事務局も務めています。中小企業経営者の方々の参加を歓迎します。https://www.pathfinders.co.jp/rashimban/         代表・日沖の最新著は『ベテラン幹部を納得させろ!~次世代のエースになるための6ステップ~』。本質に立ち返って効果的・効率的に仕事を進めるための、でも少し肩の力を抜いて読める本です。宜しければアマゾンにて検索ください(下記には他の書籍も紹介しています)。 https://www.pathfinders.co.jp/books/

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