Digital化の波が押し寄せ、経営戦略が短期化されている今、経営の要望に迅速かつ的確に応えるための有効な手法としてAgile型の開発が改めて注目されています。 非常に魅力的な手法である一方、これを正しく理解せずに適用し、後々トラブルに発展するケースも散見されます。 本質を理解し、うまく活用していくことが、成功への第一歩です。
ウォーターフォールとAgileの比較
それぞれプロジェクト管理への影響を及ぼす項目を簡単にまとめてみると以下のようになります。
おわかりの通り、外部委託先もクライアント側も、慣れ親しんだウォーターフォール型開発とは異なるマインドセットおよびスキルが求められるのです。
- 外部委託先…一人一人の生産性が可視化されるため、設計者兼プログラマーとして高いスキルとコミュニケーション能力が求められる
- クライアント…外部委託の感覚を捨て、One Teamとして共に汗をかく事が求められる。また、日々スコープや優先順位に関する意思決定が求められる
そして、中でも複雑な問題は、契約形態です。
極力請負契約にして瑕疵担保をしてほしいクライアント側と、要件が変動するシステムで請負契約は困難と考える外部委託先の思惑は一致しないのです。
私なりの見解としては、イテレーション*の期間は準委任契約とし、別途設計書などをドキュメンテーションする期間を設け、そこから請負契約に変更するなど、ハイブリッドの契約形態を志向するのが良いのではないかと考えています。
*:Agile開発で用いられる短い期間(通常2週間程度)で反復する開発期間単位のこと
この点に関しては、様々な意見があると思いますが、最終的に請負うための期間とコストを外部委託先に払う事で“保険”を得ると考えるのが良いように思います。
どちらにしても、クライアントと外部委託先の信頼関係が構築されないと、意図せずトラブルに発展する可能性があるので注意が必要です。
初回である今回は、Agile開発の本質についてプロジェクト管理側の観点から考察してみました。
次回は、Agile開発成功のためのポイントについて考えをまとめてみたいと思います。
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プロジェクトマネージャのためのAgile入門
2016.04.27
2016.05.04
2016.05.11