連載「ダメ面接官の10の習慣」では、ダメな面接官に共通する特徴を取り上げながら、面接の質を向上させ、採用力を高めるためのノウハウをお伝えしていきます。第6回のテーマは「ダメ面接官はあっさりしすぎている」です。
ここまで極端に答えない候補者はさすがに少ないと思いますが、あくまで例ですのでご容赦を。このように、面接官は質問を繰り返して話を深く聞いていかなければ、候補者の話すエピソードのレベル感を知ることができません。面接官は「しつこく」なければならないのです。
「固有名詞」や「数字」にこだわって聞き出す
ディテールを聞き出す際のポイントは、「固有名詞」と「数字」です。まず、なぜ「固有名詞」を聞き出すべきかというと、固有名詞には多くの情報がひもづいており、候補者の人となりを判断するのに役立つからです。前述した例でも、話題の家電の営業担当だとわかればイメージが広がります。候補者から「IT業界を志望している」と聞くよりも、さらに自社以外に応募している企業が「サイバーエージェント」か「NTTデータ」かまで聞けたら、候補者の志向性が見えてくるはずです。曖昧な回答は、固有名詞が出てくるまでできる限り掘り下げるべきです。
「数字」は候補者のレベル感を知るのに大変重要な要素です。「大きな店」ではなく「何席あったのか」、「難しい試験」ではなく「何%の合格率だったのか」、「長いあいだ」ではなく「何年何カ月やってきたのか」を聞かなければなりません。また、業績数字については、「何件やった」という事実だけではダメで、「平均的な数字と比較してどうだったのか」まで聞かなければ、評価はできません。
嫌われずに「しつこく」なるには
このように、面接官はあっさりしていてはダメで、しつこくなければなりません。しかし、冒頭に述べたように、「しつこい人」は日本の社会では嫌われやすい存在です。どうすれば嫌われずに「しつこく」なれるでしょうか。
当たり前の話で恐縮ですが、まずは、しつこく聞いても嫌われないように、良い雰囲気を作ることです。「笑顔を絶やさず、肯定的な雰囲気を維持する」「いきなり質問から入るのではなく、最初は相手の緊張をほぐすようにアイスブレイクできる話題(天候など)から入る」「話のあいだに、相手にわかるようにあいづちを打つ」「自分だけ質問して終わるのではなく、候補者にも質問の時間を与える」などです。
それから、しつこく質問を重ねるうえで、気を付けるべきは「なぜ」という言葉です。「なぜ」は日本語では否定の意味で使われることも少なくないため、「なぜそんなことをした=そんなことをしてはダメ」といったニュアンスで伝わることがあります。「なぜ」の問いを何度も繰り返すと圧迫面接のようになりかねません。「なぜ」の代わりに「理由は」「きっかけは」「原因は」「背景は」「由来は」など別の表現で問いかけて、詰問調にならないよう留意することも重要です。
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