ベンチャー企業の中には衰退・廃業する企業がある一方、飛躍的な成長を遂げる企業もあります。 企業が衰退・廃業する要因はさまざまでしょうが、競争に負けたというよりは、内部から崩壊し自滅するケースが多い印象です。 本稿ではそれぞれの組織の段階について、実際にお会いした起業家の方々の話をふまえて実務家の視点で考えてみます。
まだ機能別組織が回っていない状況で、一定以上の高スキル人材が去ってしまったベンチャー企業では、業務品質の維持も難しく、また人件費を賄う売上も確保できません。そっと消えていくことになります。
これは決して大きい組織の話だけでなく、2〜5人程度の規模でも、十分に起こり得ることです。
チームの長所と短所
プロ集団では難しかった規模拡大をめざした機能別組織ですが、役割分担とルール整備だけではうまく動かなくなってきます。
なぜならば、プロ集団を組織化する場合、その役割やルールはプロ集団の成功モデルをもとにしているケースがほとんどですが、いつまでも過去の成功モデルが有効であるとは限らないからです。
その対応として、チームづくりがあります。
チームの長所は、現場のメンバーが個々人の仕事をルール通りに完遂するだけでなく、自発的に相互に働きかけ、お客様満足の向上等の共通の目標達成をめざしていけることです。
例えるならば、サッカーの試合で、選手一人ひとりがルールを守り、それぞれの役割を果たしながらも、声をかけあい身体を動かすことで、勝利という目的に向かって一丸となるイメージです。
さて、チームの短所ですが、まず組織同様、チームづくり自体が成功するとは限らない、ということです。
チームビルディングそのものについては、多くの専門家の方々が語っているのでここで多くは語りません。
あえて私見を書くならば、組織はルール(含:罰則)によってつくることができる反面、チームは「自分たちがチームであろうという意志」をメンバーが持つことがとても重要であり、しかもそれは外部から強制することが難しいと考えています。
チームを機能させる方法の1つが「理念」「ビジョン」「ミッション」といったものの設定と浸透でしょう。ただ、チームの短所の1つとして、これらに共感できないメンバーは居心地が悪く、結果的に去って行く可能性がある、ということも挙げられます。
公式試合の優勝をめざすサッカーチームに、緩くサッカーを楽しみたいメンバーが一人いても、その人は居心地も悪く、いずれ去ることになるでしょう。これは、緩くサッカーを楽しみたいチームに、優勝をめざしたいメンバーが一人いても同じことが起こりえます。
ただ、メンバーの多様性の尊重もケースバイケースであり、チームがチームとしてあるためには、めざすところが異なるメンバーが去ることは短所とは言い切れないかもしれません。
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2009.02.10
2015.01.26
株式会社エデュテイメントプラネット 代表取締役
社内教育担当者・教育事業者・学校法人を対象に、研修(授業)企画・教材開発サービスを行う。 特に、繰り返し実施する研修で、講師の品質に大きく左右されず、常に一定品質以上の教育効果を生むことをめざした研修の企画・開発を行っている。 開発した教材のテーマやメディアは多岐に渡り、ビジネスゲーム『ロボロボ』は韓国大手製鉄会社でも活用されている。