2009年に家電分野に参入した生活用品大手のアイリスオーヤマ。シャープやパナソニックを辞めた技術者を積極的に採用し、大手家電メーカーの後を追いかけ始めた同社だが、昨年後半から、家電づくりに対する姿勢の変化が起き始めている。そのキーワードは「原点回帰」と「脱ジェネリック」。参入からわずか6年ほどで原点回帰という言葉を持ち出すアイリスオーヤマの家電戦略とは?
大手家電メーカー退職者を積極採用する大阪R&Dセンター
プラスチック製品などの生活用品製造で知られるアイリスオーヤマが家電事業に参入したのは、2009年のこと。ヘッドの裏に毛をかき取るためのエチケットブラシを付けた「超吸引毛取りヘッド」を搭載した掃除機を発売し、回転ブラシに絡まる髪の毛やペットの毛などのお手入れに困っていた人たちに評判となり、安価な価格設定もあって人気を呼んだ。その後も値ごろ感のある価格の同社の家電は売上を伸ばし、2014年の家電部門の売り上げは421億円となっている。
立ち上げ当初はほんの数人の自社社員から始まった家電の開発だが、パナソニックやシャープなど大手家電メーカーの退職者を積極的に採用することで、家電の技術が蓄積され、開発のスピードも一気に短縮され、ヒット商品も生まれるようになった。
2013年には大阪に家電の開発拠点となる「大阪R&Dセンター」を開設。現在は商品開発や品質管理などを担当する30名が在籍するが、そのうち27名が家電メーカー出身者だという。シャープの希望退職者を見込んで、2016年末までに100人規模にする方針とも言われており、技術者の流出に注目が集まっている。
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2015.07.10
2015.07.24
株式会社神原サリー事務所 代表取締役/顧客視点アドバイザー
新聞社勤務を経て、フリーランス・ライターに転身。マーケティング会社での企画・広報などを兼務した後、顧客視点アドバイザー&家電コンシェルジュとして独立し、2008年に株式会社神原サリー事務所を設立。「企業の思いを生活者に伝え、生活者の願いを企業に伝える」ことをモットーに顧客視点でのマーケティングを提案している。