チーム・リーダーの実行力の自己評価、あるいは他者評価は現実の業績とどのように関連しているのだろうか。 普通に考えれば、実際に業績を上げているリーダーのほうが、自分自身の実行力に対する評価も高いということが予測できるが、本当にそうなのだろうか。
チーム・リーダー(または現場リーダー)が自分自身の実行力をどのように評価しているのかを見てきたが、この評価が現実の業績とどのように関連しているのだろうか。
普通に考えれば、実際に業績を上げているリーダーのほうが、自分自身の実行力に対する評価も高いということが予測できるが、本当にそうなのだろうか。
次のグラフは、自分自身に対する評価を、増収増益の組織と減収減益の組織に分けて表示してみた。
当然ながら、増収増益組織の「自分の実行力は十分にある」と考えるリーダーは、減収減益組織のリーダーの倍以上である。
しかし、それ以外に関しては、さほど大きな違いはない。前回述べたように、約6割のリーダーは、自分に行動力・実行力はあると認識しており、「たまに感じることがあるが普段は感じない」と考えるリーダーが、減収減益組織の場合のほうが若干多いのが目につく程度だ。
そういう意味では、現在よく言われる「勝ち組と負け組が両極になっている」という現象の割には、業績の良し悪しとリーダーの自分自身への評価の差においてはたいした変化はないと言える。
続いて、自分のチームメンバーに対する「行動力・実行力」の評価を見てみよう。次のグラフは、チームメンバーに対する評価を、増収増益の組織と減収減益の組織に分けて表示してみた。
おもしろいことに、さきほどの結果とは違い、業績の良し悪しによって、大きな違いが見て取れる。
増収増益組織のリーダーは、6割以上が「自分のチームの行動力・実行力は十分にある、または、ある」と答えているのに対して、減収減益組織のリーダーは、逆に6割以上が、「普段は感じない、または、ない」と答えている。
つまり増収増益組織のリーダーは、自分自身に対してもチームメンバーに対しても同様の評価をしており、自分も含めたチームメンバー全員の行動力・実行力が、好業績につながっていると認識していると考えられる。しかし、減収減益組織のリーダーは、自分への評価とは違い、チームメンバーへの評価が低くなる、つまり、自分は行動しているにもかかわらず「チームメンバーが動いてくれない」と嘆いているリーダーが多いのではないか。
減収減益となる組織には、さまざまな原因があることは承知している。業界自体の構造不況、組織としての戦略、マーケティングの失敗、本当の意味での人材不足、バリューチェーン/サプライチェーンにおける明らかな欠陥など、どれかひとつでも致命的な欠陥があるだけで、組織が増収増益となることは難しい。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2015.12.08
2015.12.24