【シリーズ:個として強い職業人を考える】 多くの人がネットとつながっていないと不安にかられる昨今。そんななかで「孤でいること/孤の時間」を考える4つの観点───
そこで提案。1日か1週間のうちで、きちんと「孤の時間」をつくってみること。私自身は寝る前の30分間とか、仕事開始前の30分間をそうした時間にあてています。そのときはもちろん情報は遮断します。夜であれば、大きな生き方をした偉人の本を読んだり、書きものをしたり。朝であれば散歩をします。そうした時間から生まれたアイデアや決断が、いまの自分の方向性の大部分を決めていると言ってもいいでしょう。
◆観点〈4〉 孤独は孤立ではない~Only is not lonely.
「Only is not lonely.」 ───とは、糸井重里さんが主宰するウェブサイト『ほぼ日刊イトイ新聞』の表紙ページに掲げられているコピーです。
「オンリー(独自・唯一)であることは、必ずしもロンリー(孤独)ではない」。このメッセージには、噛みしめるほどに味わい深いものがあります。糸井さんはこう書いている───
「孤独」は、前提なのだ。
「ひとりぼっち」は、当たり前の人間の姿である。
赤ん坊じゃないんだから、誰もあんたのために生きてない。
それでも、「ひとりぼっち」と「ひとりぼっち」が、
リンクすることはできるし、
時には共振し、時には矛盾し、時には協力しあうことは
これもまた当たり前のことのようにできる。 (中略)
「ひとりぼっち」なんだけれど、
それは否定的な「ひとりぼっち」じゃない。
孤独なんだけれど、孤独じゃない。
―――糸井重里「ダーリンコラム」(2000-11-06)より
個性のない人びとが群れ合って、尖がった個性や出るクイを批評し、つぶすということが組織や社会では往々にして起こる。しかし同時に、「オンリーな人」たちが、深いところでつながって互いを理解し合い、協力し合うということもまた起こっている。
逆説的ですが、オンリーな存在として一人光を放てば放つほど、真の友人や同志ネットワークを得ることができます。独自性を追求する人の孤独は、決して孤立を意味しないのです。
「孤独を知る」ことは、職業人としての成熟とともに深くなる。自分がどれほどの孤独を知り得ているかは、「Only is not lonely.」という言葉を、どれだけ味わい深く咀嚼できるかで判定できるでしょう。
能力的な伸長・習熟のみが職業人の成長ではない。一個のプロフェッショナルとして屹立できるか―――これも見逃してはいけない観点だと思います。
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【個として強い職業人を考える】
2015.07.13
2015.07.21
2015.08.03
2015.08.17
キャリア・ポートレート コンサルティング 代表
人財教育コンサルタント・概念工作家。 『プロフェッショナルシップ研修』(一個のプロとしての意識基盤をつくる教育プログラム)はじめ「コンセプチュアル思考研修」、管理職研修、キャリア開発研修などのジャンルで企業内研修を行なう。「働くこと・仕事」の本質をつかむ哲学的なアプローチを志向している。