登録は簡単。しかし退会しようとすると、これが困難極まりない。体験で知る有名サービスの知られざる実態と、そこから推察される背景。
当時はベネッセの顧客リスト流出事件がニュースになっており、小生としては当方にメリットがないのに大手の顧客データベースに載っている状態はリスクでしかないわけだ。だから「構いません。確実に顧客データベースから削除されることをお願いします」と念押しして、退会の意思を明確に表明したメールを返した。
その後数日して先方からは「了解しました。退会の手続きを致します。退会手続き完了後も、数週間は店や○ポイントの本部から案内メール(販促メールのこと)が届くかも知れませんが、ご了承下さい」という最終確認的なメールが来たので、ようやくこれで決着したと小生も安心した。電話でのカード退会の申し込みから既に4ケ月ほど経っていた。
しかしこの最終確認メールから約1ケ月経った昨日、店からの販促メールが相変わらず届いた。小生の「STOP!○ポイント」作戦は5ケ月過ぎても「任務完了」していない。
では、なぜ単なる退会にこんなに手間が掛るのだろうか。想像するしかないのだが、幾つかの要素が絡んでいそうだ。
第一には、そもそも仕組みとして、そして組織思想として退会を想定していないのだろう。
「基本的に無料でこんなに役立つ共通ポイントサービスなんだから、退会したいなどという馬鹿な奴はいないはず」という思い込みと驕りがあるのかも知れない。そのため案内メールにもウェブサイトにも退会方法が明記されておらず、会員自身がワンクリックで退会するなどというイマドキ常識の仕組みではなく、しつこい要請があった場合のみ、例外的なマニュアル作業で退会処理をするのだろう。
第二に、問い合わせ処理を行う部門に緊張感や真剣さがなく、キーワードに基づいて機械的に処理する惰性が感じられた。
こうした業務は通常、外注されているので、相当厳しいコストを押し付けられているのかも知れない。今回の数回のやり取りにおいては、最初の問い合わせで発行された「問い合わせ番号」というのを常に小生のほうから提示していた。それで過去の問い合わせ内容と併せて読んだらすぐに分かることなのに、読まずに処理しようとしていたのは明らかだ。
最後に、顧客データベースからの削除が簡単ではない技術的構造があるのかも知れない。つまりデータベースが一元化されておらず、本部と店舗それぞれが独立した顧客データベースを持っており、一部からデータを削除しても他の顧客データベースには残ってしまい、ずるずると販促メールが送られるという構造だ。
○ポイント運営会社の場合、フランチャイズ制を採用しているのと、共通ポイントサービスのために他社に顧客データベースを使わせている可能性が高いため、こうした推論が現実性を持ってくる。
いずれの理由も内部的な事情であって、会員には関係ない。
退会したいと要請した会員の登録データを速やかに削除して退会させる。こんな基本的なことができないようでは、同社の顧客データベース管理能力にも大きな疑問を持たざるを得ない。顧客データ流出に関する小生の不安と、退会のための不毛のやり取りはまだまだ続くのかも知れない。
業務改革
2015.04.24
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パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長
パスファインダーズ社は少数精鋭の戦略コンサルティング会社です。「新規事業の開発・推進」「既存事業の改革」「業務改革」の3つを主テーマとした戦略コンサルティングを、ハンズオン・スタイルにて提供しております。https://www.pathfinders.co.jp/ 弊社は「フォーカス戦略」と「新規事業開発」の研究会『羅針盤倶楽部』の事務局も務めています。中小企業経営者の方々の参加を歓迎します。https://www.pathfinders.co.jp/rashimban/ 代表・日沖の最新著は『ベテラン幹部を納得させろ!~次世代のエースになるための6ステップ~』。本質に立ち返って効果的・効率的に仕事を進めるための、でも少し肩の力を抜いて読める本です。宜しければアマゾンにて検索ください(下記には他の書籍も紹介しています)。 https://www.pathfinders.co.jp/books/