サービス向上やCS向上を効果的に進めるための勘所から、今回は少し視点を広げて、サービスビジネスを成功に導くための4つのポイントについて、サービスサイエンスの理論を交えながら触れてみたいと思います。
「そんなことは百も承知」という方も多いと思いますが、実はここでも苦戦している企業が多いのです。顧客サービス向上やCS向上には取り組んでいるのに、リピーターやロイヤルカスタマーの獲得になかなか繋がっていないのです。
「リピートしたい」と思っていただくためには、そこそこ満足してもらうだけでは意味がないのです。なぜならば、CS調査で「やや満足」と答えた方の約97%以上が「リピートしない可能性がある」という調査結果があるからです。お客様に「リピートしたい」と思っていただくためには、「大満足してもらうしかない」ということを肝に銘じる必要があるのです。
(詳しくは、以前の記事「CS向上の盲点②顧客満足調査、平均値が大事なことを目隠しする!?」をご覧ください)
オススメしてもらうには、大満足だけではダメ
最後のポイントは「サービスを誰かに勧めたい」と思っていただくことです。これは、お客様自身にリピートしていただくだけでなく、リピーターやファンのお客様に、次のお客様を連れてきていただくというものです。
「サービスを誰かに勧めたい」と思っていただくことは、もちろん簡単ではありません。「紹介してくださいね」とお願いしたり、紹介カードを渡すだけでは、大事な友人にお勧めするところまではいかないものです。ではどうすれば勧めてもらえるのか。それには、大満足だけでは不十分で、そこに「面白さ」や「驚き」「友人に対して鼻が高い(優越感)」などのプラスアルファの付加要素が必要です。
最近は、クチコミサイトやソーシャルメディアが普及したことで、不特定多数へクチコミ情報を発信しやすい状況になりました。このクチコミは、大切な友人を紹介するというほどのものではありませんが、クチコミ情報を見ることで、1つ目のステップである「サービスを受けたい」と思っていただけるお客様が増やせる可能性は大いにあります。
普段顧客紹介というテーマに馴染みのない業界や企業ほど、このテーマでの取り組みをしてみると、今までにないアイデアが出てきたり、他社に差を付けるきっかけになることが多いので、是非一度議論してみて頂くと価値があると思います。
さて、今回ご紹介した4つのポイント「サービスを受けたいと思っていただく」「サービスで喜んでいただく」「リピートしたいと思っていただく」「誰かに勧めたいと思っていただく」は、BtoCサービスには馴染みが良いと思います。しかし実はBtoBビジネスにおいても大変有効だということが分かっています。もし今までこういった視点で議論や努力をしていなかったのであれば、むしろそこに伸び代があると捉えて、是非実務に生かしていただけたら幸いです。
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2015.07.10
2009.02.10
松井サービスコンサルティング ・サービスサイエンティスト
サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業を支援。国や自治体の外部委員・アドバイザー、日本サービス大賞の選考委員、東京工業大学サービスイノベーションコース非常勤講師、サービス学会理事、サービス研究会のコーディネーター、企業の社外取締役、なども務める。 代表著書:日本の優れたサービス1―選ばれ続ける6つのポイント、日本の優れたサービス2―6つの壁を乗り越える変革力、サービスイノベーション実践論ーサービスモデルで考える7つの経営革新