SNSの出現は情報収集に大きな影響を与えてきました。しかし違和感を感じるのは「日本人は礼節を尊び、規律正しい」というような全体主義的な傾向です。実は日本人は以前に比べても「皆」の価値観に流されやすくなってきているのではないでしょうか?これは企業経営においても同様です。今後我々はこのような価値観からの変換を求められるでしょう。
あるバイヤーからとても興味深い話を伺いました。サプライヤのやる気を如何に引き出していくかというサプライヤモチベーションについてです。このバイヤーが働いている企業は現状人手不足が激しい業界。数年前サプライヤに対しての依頼事項は「コスト削減」が第一優先だったのですが、今は仕事を受けてくれる先を探すのが調達購買部門の重要な役割になっているとのことです。つまり「どうしたらサプライヤのやる気を引出し、仕事を受けてもらえるか。」役割が変わりました。
私はそのバイヤーに「サプライヤは御社に何を望んでいるのでしょうか。」と。
そのバイヤー曰く「意外にも儲けたいとか、受注が欲しいというサプライヤだけでなく、うちにしかできない仕事をやりたいと言うサプライヤが多い」とのことでした。
そうサプライヤはその企業の仕事をやって金を儲けるだけでなく達成感を得たいのです。私はこれを三感主義(感動、感謝、感情)と言っています。サプライヤはその仕事を成し遂げることで「感動」したいのです。また難しい仕事をやり遂げて「感謝」されたいのです。
これには私も全く同意です。「難しい課題であればあるほど成し遂げたい。そしてお客様のお役に立ててお客様に感謝してほしい。一言『有難う』と言って欲しい」。これがサプライヤの本音ではないでしょうか。
サプライヤモチベーションの向上にはこのような人間としての本質的な部分を大切にすることが求められているのです。私はサプライヤ訪問し声を聞くことも多いですが「パートナーとして見てくれない」というサプライヤの声を聞くことがあります。もし失注したとしてもパートナーとして考えてくれているのならそれなりの対応があるだろう、ということも言われます。
実はこのような三感主義的な要素は従来の日本企業の企業と企業、企業と個人のつながりにおいてとても大切にされてきたことなのではないでしょうか。
このような日本的な何かが「皆が・・」という価値観で忘れ去られてしまった気がしてならないのです。
日本的経営と言いますと 1.終身雇用 2.年功序列 3.企業別組合の3つがその特徴と言われています。しかしむしろその底辺にあるのは日本人が従来大切にしてきた「三つの感(感動、感謝、感情):三感主義」にあったのではないでしょうか。
社員に対する感謝、顧客に感動を与える、考えるのではなく感じさせる、感じる。こういう日本ならではの要素が欧米流の合理的な経営と上手くミックスすることで、サプライヤだけでないスイテイクホルダーとのつながりを大切にする新しい日本的な経営が生まれてくることを期待しております。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。