多くの企業は誤った目的(短期的なコスト削減と購買システムの導入)の元にあまりにも近視眼的な活動を何度も繰り返しているだけではないでしょうか。これがこの十数年間の間接材購買の過ちと私は確信しております。
1.見積の段階とは全ての購買案件について見積取得及び最終価格、サプライヤ選定を調達購買部門が行うようなプロセスをルール化していることです。直接材と同じプロセスを間接材にも適用するというと分かりやすいでしょう。しかし、このやり方では実際の契約・発注はユーザーが行う訳ですから最終的な契約・発注が調達購買部門の意思決定通り行われないリスクは存在します。
しかし、お金を使うときは調達・購買が必ずサプライヤ選定するというシンプルなプロセスを適用することで管理できる、というメリットもあります。
2.予算承認の段階での管理というのは、例えば稟議申請の際に調達購買部門の承認を得た上で支出を行うというやり方です。この場合は予算執行承認はあくまでも稟議規定等で縛られますし、サプライヤ選定自体は予算執行側が何らかのガイドラインに基づいて実施するというプロセスになりますので「1.見積の段階での管理」に比べ事後承認的なプロセスになってしまいます。
3.契約・発注の段階での可視化ですが、ある企業では調達購買に係る契約書の締結は基本的に調達購買部門で行うというルールを作り、契約の段階で支出を管理する方法をとっています。しかし、これも調達購買部門の負荷が高くなる点や「2.予算承認の段階での管理」同様に事後承認的になることは否めません。また金額や案件によっては契約を行わない支出もあるので、どうしても管理できていない支出は発生してしまいます。
そうすると発注の段階で管理するのがよい訳ですが、このルールでも発注行為を伴わない支出は出てきますし、そもそも全ての発注を調達購買部門を通して行うことや購買システムを介して実施することには、業務負荷がかかるという問題を避けることはできません。
4.支払の段階での管理ですが、これをシステム的に行おうとすると会計システムと購買システムを連携させておく必要がありますので多額の投資が必要となります。一方で外資系企業などがよくやっている支払依頼に発注書を必ず添付させておくことというような「No PO, NO PAY」ルールなどを適用させることは比較的容易です。この場合には支払部門との協調が必要ですし、管理できたとしても事後確認でしかないことは理解できるでしょう。
このように支出の可視化や管理可能にする方法論はいくつか考えられますが、いずれもユーザー、支払部門および仕様設定部門との協調が必要になります。特にユーザー部門に対しては、従来のやり方にはなかった手間を強いることになります。このような手間をかけてでも全社の支出全体の可視化を行っていくんだ、というマネジメントの意思がここには必要になってきます。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。