購買手法の普遍的な考え方と交渉力

2014.08.07

経営・マネジメント

購買手法の普遍的な考え方と交渉力

野町 直弘
調達購買コンサルタント

教科書には載っていない購買手法とその普遍的な考え方について話ます。

このように少量購買ならではの購買手法は、やはりあります。逆に言うと全ての企業や品目に普遍的に通用できる手法は多くないのかもしれません。

しかし、これらの手法に共通している普遍的な考え方はあります。それはサプライヤのメリットです。『サプライヤが何を求めているか、を的確に捉え、もしくはこちらが与えられることを求めているサプライヤを探し出すことでサプライヤの本質的な要求とこちらの要求を適合させること』、これが普遍的な考え方。

例えばサプライヤの生産余力にスポット発注を当てはめることは、サプライヤの生産稼働率を上げて、より収益にメリットを与えます。
コバンザメ購買の例では、サプライヤ(特に営業パーソン)にとってみると全世界での契約だから何の努力もせずに拡販ができ、またそれもグローバルカンパニーとの取引実績という企業イメージの向上にもつながるのです。
他の事例もつきつめて考えると何らかのサプライヤの本質的な要求につながることだから何らかのメリットを受けることができると言えます。

ここで注意しなければならないのは、サプライヤが何を求めているか、のサプライヤにも様々なレイヤーがあること。
営業パーソンの立場としての本質的な要求、会社としての短期的な要求、もっと中長期の企業の存続に係わる要求、また先ほどのコバンザメ購買の事例ではグローバル企業の中のローカル企業としての要求となります。このように様々な要求レベルがあることを理解し、また自分達の本質的な要求も理解することで、その本質的な要求を埋めることができればお互いにとってウインの状況を作ることができるのです。

ここまで書いてきて気が付いたのは、これは「交渉」そのものだということです。相手の本質的なニーズを理解しそれをうめる手伝いをする。自分の本質的なニーズも理解し、それを達成するための手段を講じる。これらのバランスをとって調整を進めることでお互いにとって一番よい解決策を導き出す。つまり「必要な準備を行い、交渉(調整)プロセスを管理し、創造的な結果を導きだす」交渉力そのものです。

最近は調達・購買部門にとって、社内の調整もサプライヤとの交渉同様に重要な役割となっています。つまり社内外との利害調整とであり、これは対サプライヤだけのことではありません。このように益々調達・購買部門に交渉(調整)能力が求められる時代です。そのための基本が相手及び自分の本来の要求を理解することでしょう。

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野町 直弘

調達購買コンサルタント

調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。

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