顧客満足向上(CS向上)活動やサービス改革活動がなかなか上手くいかず悩まれている方が多いようです。こういった活動はどこでつまずくのか?そしてその対策は?このよく頂くご質問について、サービスサイエンスの視点も織り交ぜながら整理をし、活動推進におけるポイントを考えてみたいと思います。
この4つの視点で自社ビジネスを見つめ直してみると、顧客満足向上の目的を考えるヒントになるかもしれません。
例えば、「サービスを再度受けたい気になって頂く」ことに着目して、リピートオーダーの拡大を目的に据える場合、フォーカスすべきはサービス提供プロセスになることが多いと思います。一方で、「サービスを受けたい気にさせる」に着目して新規顧客の獲得を目的に据える場合は、営業アプローチや初回顧客からの相談プロセスにフォーカスすることになるのではないでしょうか。
営業プロセスにフォーカスした場合、活動を通して営業活動のCSが向上し、それが新規顧客獲得に直結すると、「CS向上の成果が出るのは随分先の話」でもなくなります。うまくいけばCS活動の成果を、今期の売上向上成果として示すことができるのです。短期間でインパクトのある成果が出せれば、活動推進はどんどん加速するのではないでしょうか。
もう一つ考慮したいのは、成果の出しやすさです。例えば、これまでとことんお客様から失点評価を頂かないようにと努力をしてきた会社が、更に「クレーム数低減」をテーマに取り組むよりは、お客様から加点評価を頂くためのテーマを設定する方が、伸び代は大きいと言えます。また、比較的どの企業もこれまで「お客様からの失点を減らす努力」に重きを置いている傾向があります。しかし今の時代、競合他社に比べて失点が少ないというだけで競争に勝てる時代ではなくなってしまいました。これからは、ホスピタリティや感動体験といった加点評価をいかにお客様から頂けるかで勝負が決まるようになってきているのです。
但し、お客様に「ありがとう」といくら言われても、売上や利益が上がらないのでは意味がありません。お客様からどこで加点評価を頂ければ、サービスを買って頂いたり、リピートして頂くことに繋がるのかを論理的に組み立てることが重要です。そのためには、先にご紹介した成功しているサービス業の4つの視点と、各プロセスでの努力のポイントを結びつけて、サービスを設計することが重要です。これをサービスサイエンスでは、サービスプロセスのモデル化と呼んでいます。プロセスのモデル化ができると、ベテランスタッフのどんな努力が成果に直結しているかを、論理的に紐解き、明文化することができます。プロセスをモデル化することは、組織的にCS向上やサービス向上を取り組む際に、極めて効果的です。*プロセスのモデル化については、また別の機会に詳しくご紹介させて頂きます。
このように、CS向上活動を成果にこだわった活動として組み立てることが大切です。活動を開始し、継続を力に変え、成果に繋げる。そんなCS活動を進めるヒントにして頂けたら幸いです。
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サービスサイエンス・CS向上・サービス改革・品質向上
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松井サービスコンサルティング ・サービスサイエンティスト
サービス改革の専門家として、業種を問わず数々の企業を支援。国や自治体の外部委員・アドバイザー、日本サービス大賞の選考委員、東京工業大学サービスイノベーションコース非常勤講師、サービス学会理事、サービス研究会のコーディネーター、企業の社外取締役、なども務める。 代表著書:日本の優れたサービス1―選ばれ続ける6つのポイント、日本の優れたサービス2―6つの壁を乗り越える変革力、サービスイノベーション実践論ーサービスモデルで考える7つの経営革新