チームビルディングというと実際のところ何に役立つのか分かりにくいと言う声を聞きます。「組織構築法」「組織力強化法」「チーム力を引き出すためのリーダーシップ理論」「部下のモチベーションを引き出す方法」などなど、チームに関わることを網羅的に包含していることが、益々チームビルディングを分かりにくくしているのだろうか。本記事がチームビルディングを身近に感じ取っていただける手助けになれば幸いです。
個性とは単なる特性ではなく、個々の持っている価値観や考え方、そしてそこから生まれる本音の意見や行動のすべてを指しています。
多様性を尊重するとは「ひとりひとりの個性を大切に扱い、意見を吸い上げ、それを組織運営や業務に活かしていく」と言うことになります。
下記はある組織の会議風景の特徴を書いたものです。
【ある組織の会議風景】
・リーダーが一方的にミーティングを進行している。
・時々、意見を求めるがほとんど意見が出ない。
・出たとしても発言者はだいたい決まっている。
・議題の結論はほとんどの場合、リーダーや一部のメンバーの意見で決定される。
・メンバーの中には発言しようと考えているものもいるようなのだが、結局発言できずに
ミーティングは終了する。
・そもそも、ほとんどのメンバーは、発言する気すらない。
以前、私が属していた組織の会議風景もこんな状況でしたが、これまでセミナーでお会いしたリーダーの皆さんの職場の会議風景も多かれ少なかれ同じような状況であるようです。
この風景から「多様性を尊重する姿勢」を感じ取れるでしょうか。そして、この状況のままで高い組織力から生まれる高い成果を期待できるでしょうか。
組織創りの基本は人間の尊重です。と言うと何か説教じみた話のように聞こえますが、組織メンバーを将棋の駒のように「使える、使えない」といった価値観で扱うのではなく、大切な一人の人間として尊重し、その一人ひとりが大きな目標に向かって力を合わせて挑んでいく、これがチームの姿ではないかと思うのです。その中で個々が120%の力を発揮し大きく成長するためには、人間として尊重されること、そして大きな支えと期待が必要なのです。
このような話をしていると「それは単なる綺麗事だよ」と思われる方も居ると思います。
そう考える方がいても仕方のないことだと思います。私も以前はそう考えていた一人だからです。
しかし、その考えの延長線上には、この状況を変える解決策は見つかりませんでした。
そんな私が気付きを与えられた出来事がありました。
あるチームでチームビルディングのアクティビティ(体を使って取り組むゲーム)に取り組んでいた時のことです。
全チームメンバー15名の中に1名、体の不自由なメンバーが居ました。アクティビティはチームの成長状態を促進させるように設計されていて、段階的に難易度が高くなっていきます。最初はボールを渡したり、フラフープの輪をくぐったりと簡単なものから始まります。
体の不自由な彼は遠慮がちで、時には皆の輪から外れて見ていることを選択することもありました。
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2014.05.11
2014.06.01
株式会社アクションラーニングソリューションズ 代表取締役 一般社団法人日本チームビルディング協会 代表理事
富士通、SIベンダー等において人事・人材開発部門の担当および人材開発部門責任者、事業会社の経営企画部門、KPMGコンサルティングの人事コンサルタントを経て、人材/組織開発コンサルタント。