製品アーキテクチャーと組織形態からみた日本企業の栄枯盛衰

2014.04.24

経営・マネジメント

製品アーキテクチャーと組織形態からみた日本企業の栄枯盛衰

渡部 弘毅
ワクコンサルティング株式会社 ディレクターコンサルタント

製品アーキテクチャーと組織形態を考慮すると、薄型TV市場で日本企業が惨敗し、トヨタが顕在な理由も見えてきます。でもトヨタも分かりませんよ。

製品アーキテクチャーには、構成部品のインターフェースの視点から大きく分けて、「モジュール型」と「インテグラル型」があります。

「モジュール型」とは明確に定義されたインターフェースにより分解されており、パソコンがその代表製品であり、国際的な水平分業が可能な市場です。
一方、「インテグラル型」は部品間のインターフェースが複雑で標準化されていない設計思想となっており、自動車が代表例です。
「インテグラル型」では完成品メーカーと部品メーカーがつねに調整をしながら製品を開発する必要があり、いわゆる「すりあわせ技術」が重要で、日本のメーカーのお家芸であり、系列化された企業関係はこの「インテグラル型」をうまく開発するための特徴です。

これは、組織形態にも言えます。従来の日本の企業は、終身雇用で同じ釜の飯を食べた社員がいわゆる「あうん」の呼吸で仕事を進める、いわば「インテグラル型」組織形態です。一方欧米型は職務規定が明確で社員の出入りが激しくても仕事がちゃんと回る、あるいはすぐに入れ替えることを強みとした「モジュール型」ですね。

日本メーカーの代表である家電メーカーが、コモディティ化されてしまった薄型TV、すなわち「モジュール型」製品市場で瀕死状態になってしまったのは、ある意味納得ですよね。自動車もEV化(電気自動車)が進むにつれて、モジュール型になってしまうのでしょうか?そうなると、天下のトヨタもわかりませんね。

米国ではシェールガス革命で、自動車のEV化が遅れておりハイブリッドやEV化で先頭をはしる日本メーカーには不利なような意見もありますが、もしかするとインテグラル組織の日本メーカーにとっては好都合かもしれません。

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