世の中、何が真実なのかを見極めることは、なかなか難しいですね。 あまりにも膨大な情報が発信されており、その中から優良な情報を選択し、ある出来事の背後にある真実を見極めようとするのだが、本当にそれが正しいのか、それは真実なのかどうかは分かりにくい。 筆者の体験を元に真実の見極め方を探ってみましょう。
ちょうど反日暴動やデモが多少収束しかけた10月に、筆者は江蘇省無錫市(上海から高速鉄道で約1時間)で3日間開催される、とある次世代インターネット技術に関する国際見本市に、幾つかの日本でのパートナー企業と共に以前から出展することになっておりました。
開催が二週間に迫ったある日、パートナー企業のメンバーと会合を持って、出展をキャンセルするかどうか打ち合わせしましたが、中国の無錫市の主催者側からも受け入れ拒否といった通知もないので、せっかくの機会でもあり、ここまで準備を進めて来たのだからということで、万全の注意をして渡航することで、出展を決行しました。
ただ、会場には不特定多数の来場者が何万人と押し寄せるので、日本人だとわかると何をされるかわかならいと考えて、日本人スタッフはブースの後ろの方でおとなしくしておいて、全面に出ての接客には中国人スタッフが行うということにし、万全を期して参加しました。
さて、初日の朝、恐る恐る会場のブースの奥に身を隠すように座っていた筆者に、中国人スタッフが飛んできて、「三宅先生。大変です! 店頭に積んでいる、先生が中国で出版した本、是非買いたいという人が大勢来ており、著者本人がいるんだったら、是非直筆でサインが欲しいと言ってます!」と言うのです。
半信半疑でブースの店頭を覗き込んでみると確かに10名ほどの中国人が行列をなして本を買っていました。 中国人スタッフに「著者は日本人だが、それでもサインは欲しいのか聞いてくれ」と言ったら、「全く関係ないと言ってます」ということでした。
どうせ全く売れないだろうと諦めて、店頭の片隅に無造作に並べておいた本が意外にも売れだしたのでした。
ならば仕方ないということで、列をなして待つ中国人を前に次々に本の裏表紙に買ってくれた人の名前と、自分の名前をサインして、「本を買ってくれてありがとう」と言いながら一人一人に本を手渡すと、皆先方から笑顔で握手を求めてくれて「謝謝!」と言いながらその場を去っていくのでした。 相手の名前の漢字に日本人に見慣れぬ漢字が多く、何度も確認し直すと、相手が笑いながら紙に大きく書いて丁寧に教えてくれ、お互い漢字民族なんだと感じながら、ちょっとしたコミュニケーションも堪能しました。
翌日朝、「昨日の夜早速読んだが、いい本なので仲間にも買いたい」と言って再度訪れ5冊まとめ買いしてくれた大学の老教授なんかもいて、結局3日間で約30冊以上の売り上げをあげたのでした。 これは全く予想もしていないことであり、持ってきた本の在庫が無くなり、スタッフ共々喜び合ったのを思い出します。
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