「脱中国」の動きが盛んだ。きっかけは反日デモと暴動だが、より本質的には、中国が手軽に儲かる生産地ではなくなってきたからである。それは労働者の権利を無視することで成り立っていたビジネスの構造が変質したということでもある。
中国からの撤退は思ったほど簡単ではないとも聞く。撤退時の労働者に対する経済補償金は高騰を続けているし、合弁パートナーには手放す株式の対価を買い叩かれる。「退くも地獄、留まるも地獄」の様相を呈しているようだ。
彼らが今、目指しているのは東南アジアである。確かに中国に比べ東南アジアの新興国ではまだ人件費は安いが、法律やインフラの整備はかなり遅れている。その肝心の人件費はどんどん上昇中である。そしてタイをはじめ各国政府は、人口ボーナスが続くうちに中間層を膨らませるために賃金上昇を促す方向に政策の舵を切ったと考えてよい。
こうした状況を考えると、安い労働力だけを求めてさ迷う中小メーカーの行く末が思いやられる。いずれどんな新興国でも労働者は権利意識に目覚め、賃金は上がる。当面はカンボジア、バングラデシュ、ミャンマーあたりを目指すのだろうが、その先はどうするのだろう。流民のごとくどんどん僻地に移るつもりなのだろうか。肚を括ってビジネスモデルを変えるタイミングが近づいているのではないか。
アジア市場進出
2014.04.24
2014.03.03
2014.02.09
2013.05.31
2013.04.26
2013.04.16
2013.04.10
2013.04.01
2013.01.29
パスファインダーズ株式会社 代表取締役 社長
「世界的戦略ファームのノウハウ」×「事業会社での事業開発実務」×「身銭での投資・起業経験」。 足掛け38年にわたりプライム上場企業を中心に300近いプロジェクトを主導。 ✅パスファインダーズ社は大企業・中堅企業向けの事業開発・事業戦略策定にフォーカスした戦略コンサルティング会社。AIとデータサイエンス技術によるDX化を支援する「ADXサービス」を展開中。https://www.pathfinders.co.jp/ ✅中小企業向けの経営戦略研究会『羅針盤倶楽部』の運営事務局も務めています。https://www.facebook.com/rashimbanclub/
