「フリー・エージェント」や「ノマド」と、「会社」という組織。「あちらを立てればこちらが立たず・・・」というものでもない。「個」が活躍できる時代だからこそ、今こそ、組織の存在意義が見直されるべき時。
組織やグループやチームが重要でなくなったわけではないのです。本来、「組織」とは、複数の人たちが集まり、「共通の目標」を達成するためにつくられたメカニズムやシステムです。むしろ、今日では、「組織」の重要性がますます高まってきているように私には思えます。
優れた組織は、個人の力を強調・補足して数十倍、数百倍にも拡張しつつ、統括の仕組みを通して複数の人を束ねることによって、個人では到底成し遂げられない大きな夢や目標を実現します。それが組織の強みなのです。資本力でも経営トップのカリスマでもなく、長い歴史に依存したブランド力でもない。真の「組織力」を武器にした未来企業が無数に創出されるべき時代が来ていると私は思います。
もっとも、人が集まっているというだけで、「共通の目標」や「価値観」というものが見失われて形骸化してしまっている組織も多いのかもしれません。組織としての意義を見出せない集団には価値がないと言っても言いすぎではないと思います。「会社は終わった」論を唱える人たちは、これまでの就労生活を通して、「組織」の中で苦い経験をしてきた人たちなのでしょう。しかし、自ら看板を掲げてやっていこうという気概も才能もある人たちが、このように簡単に会社というものに見切りをつけてしまうのはとても残念なことです。
人と人とがつながり、価値を生み出すことが容易になった「ソーシャルの時代」に、組織の在り方を各自が真剣に考え直すべき時が来ていると思います。会社やグループ、チームといった組織の存在意義や中核となる価値観を再定義して、それらに則って組織を運営するとはどういうことかを今いちど考えてみるべきだと思います。
そしてこれは、会社の経営者だけに課された命題ではありません。会社で働くすべての人が、「自分というものの存在意義」、「自分の価値観」、「働くとはどういうことか」を自らに問うてみることが必要と思います。
「今までまかり通ってきた会社のあり方が終わっている」というのであれば、新しい時代にふさわしい組織づくりに身を投じてみたらどうでしょう。個の力を集結した「会社」という組織には、会社の中で働く人や顧客をはじめとして、より多くの人を幸せにできる力があると思うのです。個々の人が自らの能力を最大限に発揮し、その功績に対して感情的に報われ、満たされる組織、そんな組織づくりを目指す人がひとりでも多くいる世の中になれば、と思っています。
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ダイナ・サーチ、インク 代表
ダイナ・サーチ、インク代表 https://www.dyna-search.com/jp/ 一般社団法人コア・バリュー経営協会理事 https://www.corevalue.or.jp/ 南カリフォルニア大学オペレーション・リサーチ学科修士課程修了。米国企業で経験を積んだのち、1982年に日米間のビジネス・コンサルティング会社、ダイナ・サーチ(Dyna-Search, Inc.)をカリフォルニア州ロサンゼルスに設立。米優良企業の研究を通し、日本企業の革新を支援してきた。アメリカのネット通販会社ザッポスや、規模ではなく偉大さを追求する中小企業群スモール・ジャイアンツなどの研究を踏まえ、生活者主体の時代に対応する経営革新手法として「コア・バリュー経営」を提唱。2009年以来、社員も顧客もハッピーで、生産性の高い会社を目指す志の高い経営者を対象に、コンサルティング・執筆・講演・リーダーシップ教育活動を精力的に行っている。主な著書に、『コア・バリュー・リーダーシップ』(PHPエディターズ・グループ)、『アメリカで「小さいのに偉大だ!」といわれる企業のシンプルで強い戦略』(PHP研究所)、『ザッポスの奇跡 改訂版 ~アマゾンが屈した史上最強の新経営戦略~』(廣済堂出版)、『未来企業は共に夢を見る ―コア・バリュー経営―』(東京図書出版)などがある。