「吉兆」とは幸か不幸か縁がなかった。 が、不二家の製品も白い恋人も赤福も、甘いものが好きではないので摂取量は少ないだろうが、お土産でそれなりに食べていた。比内鶏は赤坂あたりの串焼き屋で何度かありがたがって食べた。なんちゃって牛肉ミンチはどこかで食べたかもしれない。
偽装国家ともいうべきこの日本。耐震基準偽装などの建築物は厳に取り締まり、必要な措置を施さねばならないが、まぁ、それ以外はそんなモンだろうとの思いがあったのも確かだ。
だがしかし、やはり愛して止まないものが「偽装」と言わないまでも、「本物」であると言い切れなかった時のショックがいかに大きいか、ようやく身をもって知った。
Blogの自己紹介欄で趣味の一つに掲げるほど箱根の湯は愛して止まないものであった。が、ヤラレタ・・・。
週刊文春のスクープ記事「箱根の湯の16%は人工の温泉であった」。
今日の帰宅時、電車の吊り広告を見て、コンビニで雑誌を買い記事を読んでからどうにも脱力感にとらわれて仕方ない。
箱根の「ゴールデンルート」と言われる、元箱根から登山鉄道からケーブルカーに乗り継ぎ、大型ロープウェイを降りた所に箱根の名所であり、火山火口である「大湧谷」がある。火口の熱湯で茹でた「黒温泉玉子」も有名だ。
そこからゴールデンルートは更に小型ロープウェイに乗り換え、芦ノ湖畔に続く。芦ノ湖から少し登れば、秋はススキ野原で有名な仙石原である。
ありふれた観光ルートであるが、このゴールデンルートは筆者の幼少期からの最も愛するスポットなのだ。
信じていた、というより疑いもしていなかったのだが、記事によると箱根の湯は本来透明で、筆者の好んでいる白濁湯は人工だという。大涌谷から噴出する火山ガスを水にくぐらせその成分を含ませて温泉にしているということだ。
何より、大型ロープウェイの眼下に広がる火口にいくつも並び煙を上げる煙突を見て「さすが火山らしい!」と興奮し、小型ロープウェイに乗り、乗り場の駅にほど近い貯水池に「防火用水でもないのに何に使うのかなぁ」などと子供と話していた自分の間抜けさが哀れだ。
何のことはない。その水を煙突のあたりまで運び、ガスを含ませ温泉に仕立て、そこから仙石原まで運んでいたのだ。
「この湯は大涌谷から運ばれています」と旅館から説明され、「さすが、火口から来る湯はたっぷり白濁だね!」と喜んでいた自分が情けない。
箱根は温泉としては全国的な人気スポットであることは間違いない。日経新聞の土曜別刷・プラスワンの先週の一面には「行ってみたい古湯」大規模温泉の部で7位にランクインしている。が、古来「富士山の見えるところに温泉は出ない」といわれていたようで、その中でも芦ノ湖周辺、つまり仙石原周辺はほとんどが人工であるようだ。
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2007.11.26
2007.11.28
有限会社金森マーケティング事務所 取締役
コンサルタントと講師業の二足のわらじを履く立場を活かし、「現場で起きていること」を見抜き、それをわかりやすい「フレームワーク」で読み解いていきます。このサイトでは、顧客者視点のマーケティングを軸足に、世の中の様々な事象を切り取りるコラムを執筆していきます。