私は調達・購買分野に特化したコンサルティング会社を経営していますが、 自分で言うのも何ですが、あまり商売が上手い方ではないと思います。 社員にも、ましてやお客さんからも言われます。
我々は過去何百件という購買案件を支援してきました。
コスト低減はその結果にしかすぎません。また、目標価格を大幅に超える削減ができたケースも多く見てきましたし、サプライヤの経営状況をしっかり分析した結果、とても無理な低価格を最終的には提示してきたケースも見てきています。
当然のことですが、コスト低減がプロジェクトの成果となった場合、投資に対する効果を何らかの形で事前に示す必要はあります。そのための目標設定は確かに重要です。
ただ、もっと大切なことがあるのではないでしょうか?
それはあらゆる情報を収集分析して、落しどころを作る能力です。また、このような能力を企業の業務として定着させることです。
「落しどころ」の精度を上げていくこと、それがその企業にとっての中長期的なベネフィットにつながると信じています。我々が公正かつ透明なサプライヤ評価・選定にこだわるのは、サプライヤとの関係は決してその場限りのものではないからです。中長期的なものだからです。
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私が講師をしている「調達・購買業務基礎」トレーニング・セミナーでは最後の1時間半位で「サプライヤ評価・選定」のケーススタディを行います。
これは単に技術的な手法を習得するだけでなく、サプライヤ選定という判断は調達・購買担当者の責務であり、その判断一つで特定のサプライヤの経営に大きな影響を与えることなんですよ、ということを伝えたいからです。
「価格は安ければ安い方がよい」「コスト削減額は大きい方がよい」となりがちですが、それより重要なのは、「何故この価格にしたのか」「なぜこのサプライヤを選定したのか」これを考える能力なのではないかということなのです。
サプライヤ選定もただ単純に「評価したらこのサプライヤが得点が一番だったので・・」だけではなく、「このサプライヤを選定する(しなかった)ことによる中長期的な関係性をどう構築していくのか・・」まで考えているか、これが本当に重要なことなのです。
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2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。