企業戦略と調達・購買戦略は同期して語られることはあまり多くありません。多くの企業で経営者から見ると調達・購買部は便利なコスト削減請負人程度の位置づけなのかもしれません。
このようにビジネス戦略から要請に基づき集中購買、グローバルでのサプライヤからの調達、サプライヤマネジメントの実現、開発購買の推進などの調達・購買戦略自体の見直しが必要となってきたのです。
富士通では、このような調達・購買改革を企業・事業戦略からの要請に伴い実現してきたのです。
代表的な改革例としてあげられるのは「集中購買の推進」です。
富士通は自動車メーカーと同じ位集中購買が徹底されています。当初はキーパーツやモノが中心だったものが間接材やソフトウエア調達まで集中購買化が進んでいるようです。またもう一つの有名な事例として上げられるのは「エンジニアリング購買」という開発購買の取組みです。従来であれば調達・購買部門は事務系の職種でしたが、そこに開発出身の設計・開発がわかる人員を集め、世界中から優れた技術を持つサプライヤ開拓や設計に対する根幹をつくような提案活動を推進する、また原価企画機能を充実させるという取組みがこの「エンジニアリング購買」という組織です。今でこそ多くの企業で開発購買チームのような専門部隊を結成する企業が増えていますが、そのきっかけとなったのが富士通のこの取組みとも言えるでしょう。
現在の富士通は汎用機・パソコン事業からソリューション事業へコア事業が変化していますが、やはりその変革により調達物も例えばソリューションに必要な業務委託などのサービス購買に移行します。そうすると調達・購買の仕組みも変えなければなりません。
このように調達・購買戦略はビジネスの要請によりダイナミックに変化させるべきなのです。
ここで述べてきた事業構造の変化は富士通だけの話ではありません。
今までは「受注設計生産、完全カスタマイズの事業が汎用化している」といった事業構造の変化は多くの企業で起こりえるのです。その事業構造の変化に上手く対応すべく調達・購買改革を成し遂げコスト競争力を強化することにつなげるのは易しいことではありません。
私は企業戦略の要請により調達・購買の取組みをダイナミックに変えていくことの重要性を、より多くの企業経営者や調達・購買部門長が改めて認識すべきだと考えます。
続きは会員限定です。無料の読者会員に登録すると続きをお読みいただけます。
- 会員登録 (無料)
- ログインはこちら
関連記事
2009.02.10
2015.01.26
調達購買コンサルタント
調達購買改革コンサルタント。 自身も自動車会社、外資系金融機関の調達・購買を経験し、複数のコンサルティング会社を経由しており、購買実務経験のあるプロフェッショナルです。