先週、ボストン近郊で行われた企業文化のカンファレンスで、ドラッカーの「先見の明」を改めて実感しました。これからの企業戦略は「パーパス(存在意義)」の追求から。
ごく簡単に言うと、コア・パーパスとは企業自身の利害をはるかに超えたものであり、社会に貢献し、生活者に支持されるものでなくてはならない。もっと言えば、会社に働く人たちの心を奮い立たせるものでなくてはならない。
近代経営学の巨人、ピーター・ドラッカーは自らを「社会生態学者」であると定義していたが、この「社会生態学」という考え方が、今、アメリカのビジネス界ではスポットライトを浴びつつある。「自然生態学」が自然界における生物と環境の相互関係を扱う学問であるのに対し、「社会生態学」は社会における人間やエンティティ(企業組織)と環境の相互関係を扱うものである。
「社会生態学者」としてのドラッカーの考え方は、企業やその活動を社会問題に対する解決策として捉えるものであった。つまり、今日、取り沙汰されているところの「コンシャス・キャピタリズム」の考え方をいちはやく先取りしていたわけだ。ドラッカーという人の偉大さをつくづく思い知らされる。
90年代くらいから、「エコロジー」という言葉がもてはやされ始めて、自然環境に優しい企業活動のアプローチがいろいろと模索されてきた。しかし、これからは、「自然環境」から「社会環境」にスコープを広げて、企業の活動を考えねばならない時代が到来する。そういった意味からも、明確な「パーパス(存在意義)」を社会に向け、そして企業の中の働く人に向けて宣言し、忠実に実践できない企業に先はないだろう。
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ダイナ・サーチ、インク 代表
ダイナ・サーチ、インク代表 https://www.dyna-search.com/jp/ 一般社団法人コア・バリュー経営協会理事 https://www.corevalue.or.jp/ 南カリフォルニア大学オペレーション・リサーチ学科修士課程修了。米国企業で経験を積んだのち、1982年に日米間のビジネス・コンサルティング会社、ダイナ・サーチ(Dyna-Search, Inc.)をカリフォルニア州ロサンゼルスに設立。米優良企業の研究を通し、日本企業の革新を支援してきた。アメリカのネット通販会社ザッポスや、規模ではなく偉大さを追求する中小企業群スモール・ジャイアンツなどの研究を踏まえ、生活者主体の時代に対応する経営革新手法として「コア・バリュー経営」を提唱。2009年以来、社員も顧客もハッピーで、生産性の高い会社を目指す志の高い経営者を対象に、コンサルティング・執筆・講演・リーダーシップ教育活動を精力的に行っている。主な著書に、『コア・バリュー・リーダーシップ』(PHPエディターズ・グループ)、『アメリカで「小さいのに偉大だ!」といわれる企業のシンプルで強い戦略』(PHP研究所)、『ザッポスの奇跡 改訂版 ~アマゾンが屈した史上最強の新経営戦略~』(廣済堂出版)、『未来企業は共に夢を見る ―コア・バリュー経営―』(東京図書出版)などがある。