To Be思考を妨げる壁を克服する方法を説明します。 今回はその第3の壁。
一つの方法が、顧客パラダイム(つまり顧客基点)に一旦立ち戻って考えることは役立ちます。
特にプロダクトアウト的な発想が強い場合、マーケットイン的に発想基点を変えることができます。
本当のところ顧客は何を求めているのだろうか、どうして欲しいのだろうかという基点から、と再考します。
素直に、自然に、普通に考えることが経験を積んだ渦中の当事者には難しいからです。
よく、他の業界から学ぶ、素人の意見を大切にする、などと言われるのはそのためです。
ゼロベース思考のためにも、何かの基点が絶対に必要なのです。
マイケル・ハマー著「リエンジニアリング革命」(邦題)の中で筆者は、BPRの中心的なコンセプトは、
「不連続思考」だと言っています。
そのために、To Be構築の視点として、リフレーミングに役立つ点を列挙しています。
■複数の仕事を一つにまとめる
ケースワーカー/ケースチームによる処理
引継ぎをなくす(失敗、遅れ、やり直しがない)
■従業員が意思決定を行う
意思決定の遅れを排除
管理の単純化(責任委譲)
顧客対応の追及
■プロセス内のステップを自然な順序で行う
組織的必然性からプロセス的必然性へ
非直線化プロセス(同時処理、時間短縮)
■プロセスには複数のパターンを用意する
標準化による最適化をやめる
複数のパターンからの選択による最適化
例外ケースがなくなる(パターン化)
■仕事は適当と思われる場所で行う
組織の壁を越えて仕事が行われる
プロセスと組織の相関関係は弱い
■チェックと管理を減らす
経済的に意味がある管理のみを行う
管理をまとめて(全体パターンで)行う
チェックを後で行う
■調整は最小限に抑えられる
調整(照合)が必要になる可能性(接点の数)そのものを低減
■ケースマネージャが顧客との接点となる
複雑なプロセスと顧客との間の緩衝剤
権限委譲された顧客サービス担当者
■集権化と分権化を組み合わせる
情報技術(DB)により独立した個々のユニットの活動(分権化された処理)が集権化
官僚的な中央管理体制は不要
ITが限られた経験枠からのリフレーミングを可能にする視点を与えてくれることもあります。
次のリストも役立つことでしょう。
■複雑な仕事はエキスパートしかできない⇒ゼネラリストがエキスパートの仕事をする
■集権化か分権化のどちらかしかない⇒集権化と分権化を両立できる
■マネージャがすべての決定を行う⇒意思決定は皆の仕事の一部である
■情報管理のためのオフィスが必要である⇒いつでもどこでも情報発信・受信ができる
■顧客と接するには個人的な接触が必要⇒顧客は好きなときに好きなだけ情報を得る
■必要なものは探さねばならない⇒必要なものの方から現れる
■情報収集と分析を定期的に行う⇒リアルタイムで分析結果を得る
----- Lesson Learned -----
限られた経験の壁を克服するために・・・
・リフレーミングで視点を多様化する
・ゼロベース思考のための基点を掴む
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2009.02.10
2015.01.26
株式会社インサイト・コンサルティング 取締役
わたしはこれまで人と組織の変革に関わってきました。 そこにはいつも自ら変わる働きかけがあり、 異なる質への変化があり、 挑戦と躍動感と成長実感があります。 自分の心に湧き上がるもの、 それは助け合うことができたという満足感と、 実は自分が成長できたという幸福感です。 人生は、絶え間なく続く変革プロジェクト。 読者の皆様が、人、組織、そして自分の、 チェンジリーダーとして役立つ情報を発信します。